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小結・大栄翔、母校に「米0.5トン贈答」後輩は絆のガッツポーズ! 東日本大震災で深まった“伝統”を継承

スポーツ 投稿日:2021.03.17 06:00FLASH編集部

小結・大栄翔、母校に「米0.5トン贈答」後輩は絆のガッツポーズ! 東日本大震災で深まった“伝統”を継承

 

 迷いのない突き押し相撲を武器に、大相撲一月場所で初優勝を飾った、小結・大栄翔(27・追手風部屋)。3月14日に初日を迎えた三月場所は、3場所ぶりの三役に復帰し、再び “台風の目” 以上の活躍が期待されている。大関候補として一躍注目を集める存在となったが、本誌は、その素顔に迫るべく本人にインタビュー。場所前に、たっぷりと語ってもらった。

 

 

 まずは、埼玉県出身力士として、初の幕内優勝を果たしたことについて聞くと−−。

 

「それが、すごく嬉しいんですよ。生まれも育ちも埼玉、高校も埼玉(埼玉栄高)、部屋(追手風部屋)も埼玉県草加市ですから。大好きですよ、埼玉は!」

 

 じつは本誌は、「大栄翔がスゴい」との情報を、2020年から得ていた。2020年九月場所前に中村親方(元嘉風)に優勝予想を聞いたとき、「まだ粗削りな部分はあるが、優勝してもおかしくない、いや、優勝できます」と絶賛していたのだ。

 

「それは、めちゃくちゃ嬉しい。親方は憧れの人で、現役のときからトレーニング法とかいろいろアドバイスをいただいていたんです。先場所も、場所中に『このままいけよ』と、声をかけてもらったんです」

 

 2020年九月場所は、自己最高位の関脇として迎えたが、5勝10敗の結果に終わった。

 

「あのときは、右肘のネズミ(遊離軟骨)の痛みが激しく、自分の相撲が取れなかったんです。場所後に手術をして、左右をバランスよく突けるようになったんです」

 

 その後は前頭として、十一月場所で10勝5敗、そして一月場所は13勝2敗で優勝。小結だった2020年七月場所の11勝も合わせて、直近4場所中3場所で二桁勝利を挙げている。その原動力となっているのが、回転の速い突き押しだ。

 

「高校では、基本的に四つ相撲でした。それが入門してすぐに、『徹底して突いていけ』と親方に言われたんです。『とにかく突け、まわしを取るな、差すなよ』と。それをプロ入りしてから9年間、ずっと続けてきたんです。(優勝は)そのおかげでしょうね」

 

 生まれは、陸上自衛隊の駐屯地がある朝霞市。大栄翔いわく、「平和で住みやすい街ですよ。都心にもすぐ出られるし便利。大好きな街」。小学1年から相撲を始め、埼玉栄高校へ進学した。

 

「家族は母と兄。母子家庭です。高校は私立でしたから、母と兄の助けで卒業させてもらいました。

 

 プロ入りを決めたのは、高2の冬。厳しい世界で自分の力を試したいという気持ちと、親に楽をさせてあげたいという気持ちがありました。大学に行けば、それなりにお金はかかりますから。プロの世界で成功したいという気持ちが強かったですね」

 

 埼玉栄高校といえば、相撲界では名門中の名門。豪栄道、貴景勝ら、多くの関取を輩出し、今場所番付では関取70人中、OBは13人にものぼる。一月場所の優勝後、母校に「米1トンを贈りたい」と宣言したことも話題となった。同校相撲部の山田道紀監督に聞いた。

 

「一袋25kgで20袋、合計500kgのお米を送ってくれました。さすがに1トンは寮に置く場所がないので、2回に分けてもらったんですよ。うちには21人の寮生がいて、ひと月に450kg食べます。だから500kgでも、ひと月ちょっとしか持ちません(笑)」

 

 大栄翔の有言実行に、後輩たちは “絆” のガッツポーズで返した(次ページ写真)。活躍したOBが米を寄贈するのは、同校の伝統。とくに、10年前の東日本大震災時は、思い出深いという。

 

「震災後、寮の米がなくなったんです。私の実家から300kg用意したんですが、それもすぐになくなった。そんなとき、豪栄道が500kgの米を送ってくれたんです。何も言わずにね。それを後輩たちも見ていたし、いつの間にか伝統になったんです」(山田監督)

 

 また、「埼玉栄高出身力士たちの絆は強く、いい刺激になっている」と、大栄翔は語る。

 

「相撲に対する意識は高いし、いいライバルであり、高め合っていける存在です。うちの部屋には、埼玉栄出身で2学年先輩の剣翔関、ひとつ上の翔猿関もいますし、ありがたい環境だと思います」

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