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現役力士、親方が次々と大学院生に…安治川親方「早稲田に入学した理由は」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.22 17:50 最終更新日:2021.03.23 17:13
2020年4月、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に入学した荒磯親方(元横綱稀勢の里)が、修士課程を修了した。荒磯親方と入れ替わりで4月から同大学院に入学するのが、安治川親方(元関脇・安美錦)だ。
また、一月場所で初優勝を飾った小結の大栄翔(追手風部屋)は、2020年4月に日本大学大学院に入学した現役の大学院生でもある。
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なぜいま相撲界では、大学院へ進み、新たに学ぼうとする人が増えているのか。安治川親方と大栄翔に話を聞いた。
まずは、4月から早稲田大学大学院に入学する安治川親方から。
――なぜ、大学院に進学を?
「外から、普通の目線で相撲を勉強したいという気持ちが以前からありました。私が入学するのは早稲田大学大学院のトップスポーツマネジメントコースです。
いまは相撲界でもいろいろな問題が出ています。もちろん経営も大事なんですが、今後、相撲界を支えていくためにも、若い人たちが相撲にやりがいを感じるような部屋を作りたい思いがあります。
いろいろなものは残しつつ、今の時代に合った新しいことも取り入れながら部屋を作っていきたいと。そのために勉強しようと思ったのが大きな理由です。
もうひとつは、2020年10月におこなう予定だった断髪式が、コロナ禍で5月に延期になってしまいました。さらに感染状況を鑑みて、2022年5月29日に再延期になってしまったんです。
本当は去年から行きたかったんですが、断髪式が終わってからにしようと。ところがこのような状況になったので、今年は勉強する期間にあてようと思い、入学を決めました」
――授業はリモートで?
「4月からなのでまだ未定ですが、夕方か夜にかけて、リモートでの授業になるみたいですね。長いこと現役でやってきたからこそわかる気持ちもありますが、じゃあ新弟子の気持ちがわかるかといったら、それはまた別で。
何がいけないのかということも、いろんな目線で見たいと思っています。今後は部屋を持ちたいですし、一から自分でやってみたい気持ちもあります。
いまはコロナ禍で弟子を探しに行くこともできませんから、部屋のことを考えながら、勉強する期間だと思っています」
一方、現役大学生との “二刀流” である大栄翔は進学についてこう話す。
――大学院生活はどんな感じ?
「私は2020年4月に日本大学大学院のファミリービジネス科に入学しました。ちょうどコロナ禍になってしまったので、授業はリモートです。稽古の合間にリモート授業を受けています」
――ファミリービジネス科を選んだ理由は?
「相撲部屋というのはまさにファミリービジネス。これからの時代は、ちゃんとした経営感覚が必要とされると思うんですよ。自分もこの世界に入ったからには、いつかは親方として、指導する立場につきたいと思っています。(追手風)親方のすすめもあっての入学なので、勉強できる期間をいただけたということで、しっかり学びたいです」
2人の話を聞くと、若い人たちが魅力を感じられるような部屋作りをしたいという思いと、相撲部屋をきちんと経営したいという思いが、大学院への進学を決意させたようだ。
学んだことが相撲部屋の経営に生かされ、より人々に支持される「新しい相撲の時代」がやってくるかもしれない。