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広島カープ・栗林良吏、小学校時代の守備の掛け声は「焼き肉、行くぞ〜!」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.19 06:00 最終更新日:2021.05.19 06:00

広島カープ・栗林良吏、小学校時代の守備の掛け声は「焼き肉、行くぞ〜!」

速球とフォークが持ち味の広島カープ・栗林良吏

 

「期待に応えるのがプロの仕事だと思っています」

 

 その力強い言葉どおり、開幕から守護神として獅子奮迅の活躍を見せているのが広島の栗林良吏(24)だ。5月17日現在、デビュー以来続けている連続無失点の新人記録を17試合まで伸ばし、リーグ3位の9セーブを挙げている。

 

 

 150km台の速球と落差の大きいフォークとともに、緊迫した場面でも表情ひとつ変えず投げ込む強気も売りだ。

 

 その栗林が野球を始めたのは「兄の影響でした」と、父・秀樹さん(50)は語る。

 

「運動神経は兄のほうがよかったんですが、負けたくないという気持ちがあった。だから兄より良吏のほうが、野球を好きになっていきました」

 

 最初に所属したのは、愛知の勝幡ドラゴンズ。元監督の矢田慎一郎さん(47)が語る。

 

「まさに野球小僧で、野球をよく知っていた。小5までは遊撃手でしたが、野球を理解している子を捕手にしたかったので、小6時には捕手と主将をまかせました。ある大会の決勝戦で、『試合に勝ったら焼き肉だぞ』と声をかけたら、守備前の声出しで、『焼き肉、行くぞ〜!』と叫んでいましたよ(笑)」

 

 気の強さも、このころすでに見せていた。

 

「バントのサインを出しても、したくないと。それでヒットを打ったり。バントで自分が死ななあかんとなると泣くんです。当然、後で叱りましたけどね(笑)」(同前)

 

 中学では藤華クラブに所属。有野伸一監督(53)は、栗林にある言葉を授けた。

 

「中2まで主将をやらせたのは、気配りがしっかりできるから。ただ、その気持ちが強すぎて、自分のことができなくなる恐れがあった。なので、中3では主将から外しました。それからは、とにかく自分のプレーに専念しろと。

 

 そのときに『謙虚』という言葉を掛けました。彼は引退してからも、いちばんよく顔を出してくれましたね。後輩からも保護者からも信頼される存在。メールをしても、返信が早くて律儀なんです」

 

 栗林の座右の銘は、今も「謙虚」である。

 

 愛知黎明高でも遊撃手を続けたが、高3で投手に転向。同校の井上毅校長(68)は、ある出来事を鮮明に覚えているという。

 

「彼が高3だった冬のマラソン大会でのことですが、トップ集団でゴールした。すると、まだゴールしていない野球部のチームメイトのもとへ走って行って、それからまたゴールまで一緒に走ってくる。それを笑顔で何度も繰り返すんです。『この子はいいなあ』と感心しました。

 

 ある人が『栗林の弱点は、まわりのことを大事にしすぎることだ』と言っていたようですが、私は逆に彼の強みだと思います。チームプレーを地でいくような人間性。高3では主将として、選手と指導者の間に入ってチームをまとめていました」

 

 そんな息子について父・秀樹さんは「あの子はエリートじゃないし、ごくごく普通の子。まさかプロ野球選手になるとは。プロ入りが決まって、選手が使っているような高価な電気治療器を買ってくれました。家族で毎日使わせてもらっています」と目を細めた。

 

“謙虚” の2文字を胸に抱き、セの新人王どころか、侍ジャパンの守護神に名乗りを上げる勢いだ。

 

写真・時事通信

 

(週刊FLASH 2021年6月1日号)

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