スポーツスポーツ

井岡一翔「疑惑の尿」問題 “潔白”会見後も「JBC」コミッショナーは雲隠れ

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.21 20:02 最終更新日:2021.05.21 20:07

井岡一翔「疑惑の尿」問題 “潔白”会見後も「JBC」コミッショナーは雲隠れ

服部真尚弁護士と井岡

 

 プロボクシングWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32)がおこなったドーピング検査で、大麻成分などが検出された問題を受け、5月19日、JBC(日本ボクシングコミッション)と井岡が、それぞれ会見をおこなった。

 

 そのなかで、本来は冷凍保管すべき尿検体を常温輸送し、職員の自宅冷蔵庫で保管するなど、JBCのずさんすぎる検査の実態が明らかになるとともに、井岡自身の「身の潔白」が証明された。

 

 

 井岡は「潔白を証明できたのはよかった」と語る一方で、「この1カ月半で僕の人生はかなり変わってしまった。JBCの会見を見たが、僕や関係者に対する誠意は伝わらなかった。(JBC側の)いろんな不備だったというだけで、謝罪だけで終わらせてほしくない」と鬱積した思いを吐露した。

 

 ことの発端は、2020年12月31日。WBO世界スーパーフライ級1位の田中恒成(25)との防衛戦の試合前に採取された井岡の尿から、後日、大麻成分が検出されたことだった。このことを最初に報じたのが、『FLASH』(5月11日・18日号)「日本ボクシングコミッションの闇 井岡一翔 疑惑の尿が消えた!」だった。

 

 同記事では、「2021年1月7日に検査がおこなわれ、ほどなく大麻が検出されました。さらに詳しい分析をしたところ、1月19日、『覚醒剤または合成麻薬の摂取が疑われる物質が検出された』と聞きました」というボクシングジム関係者の証言や、井岡本人は何も知らない中で、JBCが警視庁に検査結果を報告したことなどを報じた。

 

 取材時、井岡の代理人・服部真尚弁護士は本誌に「大麻に関しては、セルフケアに使用していたCBDオイルの成分が検出されたのかもしれないと考えていますが、覚醒剤はまったく身に覚えがなく、試合後に検体がすり替えられた可能性があるとすら考えています」とコメントしていた。

 

 前回の記事で、本誌にJBCの手続きのずさんさを証言したボクシングジム関係者はこう言う。

 

「井岡選手側から『大麻成分が検出されたのは“偽陽性”の疑いが強い』『覚醒剤に含まれる物質が検出されたのは、尿の腐敗進行によるものである』という意見書と鑑定書が提出されました。JBCは、この井岡側の言い分を全面的に認めた形。争っても勝てないと判断し、白旗を上げたんでしょう」

 

 そもそも尿検体のドーピング検査は、同じ尿検体を「A」と「B」の2つの容器に分けて検査するのが決まりだ。最初に分析するA検体が陽性でも、選手側が再検査を要求すれば、B検体の分析をおこなうことができる仕組みなのだが、井岡のB検体は、警視庁に押収されてしまい、警視庁が検体を使い切ったため、再検査自体が不可能になってしまった。

 

「19日の会見で、JBCのナンバー2である永田有平理事長は、再検査をせずにドーピングの検査結果を警察に持ち込んだ重大な失態に対し、『警察に報告することに反対はありませんでした』と答えていました。しかし、これは自らの責任を回避するための“真っ赤なウソ”です。

 

 JBCの倫理委員会の答申書では、『警察への情報提供の是非についての結論は出なかった』となっていますから。

 

 実際は永田理事長らが、反対意見があったにもかかわらず、警察にタレ込んだんです。その結果、B検体を失い、おかしな方向に向かってしまった。永田さん本人はやめるつもりはないようですが、辞任要求は相当強まるでしょう」(前出・ジム関係者)

 

 一方、JBCのトップである長岡勤コミッショナーは、問題の発覚以降、現在まで雲隠れを続けている。

 

「興行部門を担当する日本プロボクシング協会も長岡さんを表に引っ張り出し、説明を求めることになると思います。とにかく、今の体制ではJBCの存続は難しいという意見がプロボクシング界のあちこちから出ていることはたしかです」(前述のジム関係者)

 

 JBCは井岡本人への謝罪の意を示しているものの、今回の問題を生んだ組織体質は、なにも変わっていないようだ。

続きを見る

今、あなたにおすすめの記事

スポーツ一覧をもっと見る