スポーツ
井岡一翔 大麻成分検出に「発表の必要性あったか」と困惑 JBC事務局長は「一定の信頼関係はあったと」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.06.23 20:19 最終更新日:2023.06.23 20:36
6月21日、日本ボクシングコミッション(JBC)は、24日の世界ボクシング協会(WBA)スーパーフライ級タイトルマッチに臨む井岡一翔(かずと・同級6位)の尿から、禁止物質である大麻の成分が検出されたことを発表した。
尿は、2022年12月31日のジョシュア・フランコ戦後の検査で採取されたもの。しかし、検出された成分は世界反ドーピング機関(WADA)による基準値を下回る微量であったため、ドーピング違反には当たらず、フランコとの再戦となる24日の試合は、予定どおり実施されるという。
22日、井岡が所属する志成ボクシングジムは、「JBCのドーピング検査の発表について」と題したリリースを発表した。そこでは
関連記事:【スクープ】覚醒剤成分が検出…井岡一翔「疑惑の尿」がJBCから消えた! 本人は「潔白」訴えるも再検査できない異常事態
《ご承知のとおり、井岡は、24日(土)に、フランコ選手との再戦を予定しており、その直前にこのような発表がなされることについては、当ジムとして、非常に困惑しているとともに、疑義を有さざるを得ません。
JBCの発表によりますと、JBCは井岡をドーピング防止について定める97条に違反しないと判断したとのことですので、当ジムとしても安堵しているところではありますが、それをこのタイミングで発表することの必要性があったのかについては疑問が残ります。》
と、通知のタイミングについて批判したうえ、大麻などの禁止物質の摂取や使用はしていないと明言。《潔白を証明していく所存》だと訴えた。
井岡側が表明した“疑問”について、JBCの本部事務局長・安河内剛氏に聞いた。
――なぜ、このタイミングで発表したのか。
「発表のタイミングについて、いろいろなご批判やご意見があることは、存じ上げています。世界戦前に発表したのは、フランコ陣営に“隠蔽”と思わせないように、というのがひとつの理由ですが、それ以上に大きいのは、この事実が、試合前に判明したことです。すでに、その事実を知っている関係者が少なくない状況で、情報が漏れれば、試合にもっと大きな影響を与えてしまいます。検査結果がわかっている以上、できるだけ速やかに公示するという姿勢で、淡々と、事実に基づいて公表したということです」
――JBCの発表のタイミングには、いまも井岡選手側は納得していないのでは。
「いや、そんなことはないと思います。以前に、JBCと井岡選手側の信頼関係を棄損するような出来事がありました。今回は、井岡選手側とはできるかぎりのコミュニケーションを取り、また井岡選手側も、B検体(最初の分析に使うものをA検体、競技者側の要求などによる分析に使うものをB検体という)の検査の際には、井岡選手の同意と代理人が立ち会うなど、協力してくださっています。そこには一定の信頼関係はあったと解釈しています」
――今回、井岡選手の尿検体から、大麻成分のTHC代謝物であるTHC-COOHが検出されたが。
「THC-COOHが検出されたということは、科学的には何らかの方法で、大麻成分が体内に摂取されたのであろうということになります。もちろん、いろいろな反論の余地は残しています。ただ、検体の採取や保管には最善を尽くしましたし、井岡陣営にも、検査のすべての工程を見ていただいています」
――検出された大麻成分は、基準値を下回っており、ドーピング違反ではない。なぜ、発表したのか。
「青少年の健全育成や、アスリートの管理をしているわれわれとしては、WADAの定めるドーピング違反にはあたらないとしても、大麻成分という、使用することが違法であるものが検出されたという結果をまったく無視して、『検出されなかったも同然だ』とすることは難しかったということです」
――井岡選手は、23日の会見で「JBCとの関係性は修復していません」と言っている。
「信頼関係は崩すのは簡単ですけれども、作り上げるのは難しいですから。つねにその努力はすべきですし、アスリートがいなければ、僕らは生きていけないですから。選手がいなければ、ボクシングはそもそも存在しないわけですから、選手に対するリスペクトは忘れたことはありません。井岡選手のその言葉は重く受け止めています」
23日の前日計量では、フランコが規定体重をオーバーしてWBA王座が剥奪されるアクシデントがあった。井岡は、空位となった王者の座につくことができるだろうか。
( SmartFLASH )