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新庄剛志「彼を殴ったことは一度もなかった」阪神入団当初を知る鬼寮長が明かす真面目すぎる若手時代
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.21 06:00 最終更新日:2021.11.21 06:00
阪神タイガースに入団した新人は、まず球団所有の虎風荘に入寮することが慣例となっている。ここで、まずプロ野球人として生き抜く術を徹底的に叩き込まれるのだ。その厳しさから、“虎の穴” と呼ばれるほどだった。
ここで18年間、寮長として “若トラ” たちの指導に当たったのが梅本正之氏(85)だ。
「いろんな子供が入ってきたから、それは大変でしたよ。昔は鉄拳もやりましたよ。選手にナメられたらいかんし、怒らなあかん。ほとんどの子供を殴ったんちゃうかな」
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そんな梅本氏にとって、忘れられない男がいるという。それが、日本ハムの新監督に就任した新庄剛志(49)だ。
「手のかかるコが多かったなか、新庄は寮では行儀のええコやった。皆さんは新庄といえば、チャランポランなイメージがあるかもしれんけど、練習は真面目やったし、門限も守る。彼を殴ったことは一度もなかったな」
ただし、ときには驚かされることもあった。
「部屋がな(笑)。暖簾をかけたり、オーデコロンの匂いが充満しとった。洋服もすごかったな。ベルサーチが好きで、部屋はまるで衣装部屋みたいやったよ。一軍で試合に出るようになると、人気はものすごいことになった。ファンレターは毎日100通以上が届く。
ナイターが終わって甲子園球場から帰ってくるとなると、虎風荘のまわりには女の子が200~300人押し寄せてきたからね。しかもキャ~キャ~騒ぐから、周囲の住民から苦情が殺到して大変だったよ」
梅本氏は毎年オールスター休みになると、選手一人ひとりと面談をおこなっていた。そこでは女性関係も話題に。
「彼女は何人かいたみたいやけど、交際を長く続けるというのはなかったんと違うかな。ファッションモデルとつき合ってる時期もあったけど、それよりも野球やったやな」
梅本氏はふだんの生活、面談を通して、新庄の野球に対する熱き思いを感じるようになっていった。
「彼は若いころから夢を持ち続けていたね。日本でプレーを続けていたら大金を稼げたのに、それでも年俸の低いメジャーに行ったでしょ。お金の問題ではなく、とにかく若いころからメジャーでプレーしたいというのが口癖やった。その夢を追い求めて実現させたわけやけど、その夢が今度は監督になるという情熱に上り詰めたんやと思いますね」
じつは新庄は、昨年本誌に監督への思いを語っていた。そのなかで “水と油” のような関係といわれた故・野村克也氏についても言及している。
「(阪神時代)俺が一方的にぐいぐいいってたけど、かわいがってもらっていたのは確かです。野村さんが監督に就任した際、『ミーティングが長すぎるから短くしてください』って言ったんです。みんな驚愕してたけど、野村さんは受け入れてくれた。だって、人間の集中力は2時間も保てないですし、学校の授業も50分じゃないですか(笑)。
野村さんはプロ中のプロでしたけど、俺に『何番を打ちたいんや?』って聞いてくれたり、なによりも選手をやる気にさせるのがうまかった。プロになる選手は本来みんな力があるので、監督のいちばんの仕事はそこじゃないですか。だったら俺も断トツでうまいですよ。だから、日ハムで優勝したわけですから。
俺はもともとまわりの選手を乗せるのが得意だし、野村さんの考えも知っているので、最強の監督になるんじゃないですか(笑)」
梅本氏も、“ビッグボス” 新庄に期待しているという。
「まず思ったのは、日ハムも思い切ったことしたなと(笑)。ただ、彼は割り切りが早いし、アイデアマン。今後は、アイデアを出して自分なりに組閣をやって、選手の補強もやると思う。スタッフを含め、阪神OBから1人でも2人でも入らんかなあ。亀山(努)とかどうやろう(笑)。
今の新庄は人間的にも成長しているから、そのプラスアルファを前面に打ち出して、選手のやる気を起こさせて、寒い北海道で頑張ってほしいな。沖縄キャンプを見てても、選手のモチベーションを上げる能力はピカイチやと思う。
まずは一歩一歩。選手の教育、育成は一足飛びにはいかんからね。来季のパ・リーグは楽しみ。日本でいちばん注目されてる人物やし、岸田総理なんかより、はるかに期待されているでしょう(笑)」
以前、新庄はテレビ番組に出演した際、歌手の美輪明宏とスピリチュアリストの江原啓之から「あなたの右手から金粉が出ている」と言われたという。来季は、金色に輝く新庄が、球界に新風を巻き起こす。