第4回を迎えるWBCにおいて、侍ジャパンに課せられた使命は、Ⅴ奪回以外にない。だが「問題は山積している」と、取材を続ける記者たちは語る。
その最たる例が、侍ジャパン以前に監督経験のない小久保裕紀氏(45)だ。当初から経験不足は懸念されていたが、2015年のプレミア12の韓国戦で、継投を大失敗。9回に4点を奪われ、屈辱の逆転負けを食らった。
「以来、選手たちは小久保監督に対して『具体的なアドバイスができず、野球を知らない!』とバカにしている。チームが崩壊しないのは、(ソフトバンク時代の同僚で)『小久保派』の内川聖一が間を取り持っているから。怒ったのはファンも一緒。NPBへの抗議電話が鳴りやまないなど、批判が殺到。NPB側でも解任を進める動きがあったが、WBCまでの契約のため、クビを切りたくても切れなかった」(担当記者)
それでも球界関係者は、「今回、何人の日本人メジャーリーガーが入るのか?」と、期待に胸をふくらませていた。
「昨年、小久保監督は渡米し、多くの日本人メジャーを呼ぶと宣言。特にイチローとは個人的にも親しいと吹聴し、自信を見せていた。だが、出場するのは青木宣親ただ一人。これには『高いカネを使ってこれか!』と、怒りを隠さないNPB関係者は多い」(同前)
■売りである投手陣がアキレス腱になる可能性
不安だらけの小久保監督は、「投手を中心とした守り勝つ野球」をコンセプトに掲げているが、投手力も怪しげだ。昨年11月のメキシコ、オランダとの強化試合4戦で日本は大量29失点。ところが、投手陣の顔ぶれは、そのときとほとんど変わっていない。先発の左投手がいないことも不安で、メジャー球を知っている左の和田毅を入れるべきとの声は多かった。ただ投手陣最大の問題は、「権藤博投手コーチにある」と、スポーツ紙デスクは語る。
「国内の実績はあっても、国際経験がほとんどない。球数制限がある本大会で、どう指揮するのか。さらに危機感を持つのが中継するTBSとテレ朝。この2局は、小久保監督では視聴率が取れないため、今回のチームを「大谷ジャパン」にしたかったが、それも消えた」
打に目を移しても心配な点はある。就任以来、「代表の4番は中田翔」と言いつづけてきた小久保監督に変化が。
「中田は代表への思い入れ、また4番へのこだわりが人一倍強い。ところが小久保監督は、今年に入り『4番は中田か筒香嘉智のどちらか』と方針転換。中田は日ハムでは大谷に、代表で筒香に主役の座を奪われる可能性がある。意気に感じてプレーすると同時に、周囲を気にするタイプなので、嫉妬が心配だ」(同前)
現在、担当記者間ではⅤ奪回どころか、1次ラウンド敗退の予想も出てきている。侍には、船出前から黄色信号が灯っている。
(週刊FLASH 2017年2月14日号)