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清宮幸太郎&近藤健介が食らった「ボナファイド」打者走者まで一気にアウトの耳慣れないルールはいつから?

スポーツ 投稿日:2022.08.12 06:00FLASH編集部

清宮幸太郎&近藤健介が食らった「ボナファイド」打者走者まで一気にアウトの耳慣れないルールはいつから?

清宮幸太郎(奥)と交錯した源田壮亮(写真・産経新聞)

 

「ただいまのプレーで、清宮選手はアウト、そして危険なスライディングとして『ボナファイド・スライド・ルール』を適用して、打者走者の近藤選手もアウトといたします」

 

 8月10日の日本ハム西武戦で、聞きなれないルールの名が発せられた。スコアは2‐2の同点で迎えた8回裏、日本ハムの攻撃で、1死一、二塁の場面。打者の近藤健介(29)が二ゴロを放ち、捕球した二塁手・外崎修汰(29)はベースカバーに入った遊撃手・源田壮亮(29)へ送球。そこに一塁走者・清宮幸太郎(23)が二塁へ滑り込み、源田と交錯。源田は一塁へ送球できず、清宮はベースをやや過ぎたところで倒れ込んだ。塁審はセーフを宣告したが、西武・辻発彦監督(63)がビデオ判定をリクエストし、プレーは中断した。

 

 

 審判団の検証の結果、二塁の判定は覆ってアウト、さらに清宮のスライディングを危険と判断して「ボナファイド・スライド・ルール」を適用して打者走者もアウトとなり、これで一気に、3アウトで攻守交代となった。

 

 この規則は、「ボナファイド・ルール」や単に「ボナファイド」と呼ばれることもある。「ボナファイド(bona fide)」とは英語で「本物の」「誠実な」という意味で、「ボナファイド・スライド」とは「正しいスライディング」と訳され、日本の『公認野球規則』で定められている。

 

『公認野球規則』の「6.01(j) 併殺を試みる塁へのスライディング」では、「正しいスライディング」をせずに野手に接触、あるいは接触しようとすれば、インターフェア(守備妨害)とされ、この場合、違反した走者と打者走者がアウトとなる。つまり、清宮は「正しいスライディング」をしなかったために「インターフェア」と判定されたのだ。

 

 ルールに詳しいアマチュア野球の関係者が解説する。

 

「プレーを見れば一目瞭然ですよ。これは清宮のスライディングが危険と判断されたということ。かなり近いところで滑り始めているので、併殺阻止のプレーにも見えるし、スライディングを終えた後にベースを通過したようにも映る。本塁以外でのスライディングは、ベースに留まろうとしなければなりません。

 

 このルールができた背景には、まず『コリジョン(衝突)』があります。アメリカでは、走者が本塁に突入する際、捕手によく体当たりしていたのですが、実際に捕手が負傷したこともあって、これが危険な行為とみなされて、2014年に衝突防止のための「コリジョンルール」が採用されました。日本に導入されたのは2016年です。

 

 その後、併殺阻止を狙う危険なスライディングを違反行為とするために、『ボナファイド』も2016年にアメリカで明文化され、2017年に日本でも採用されたのです」

 

「ボナファイド・スライド・ルール」が導入されて6シーズンめとなるが、まだ馴染みの薄い言葉だ。地方局で野球の実況を務めるアナウンサーも「エアポケットになっていて、まったく知りませんでした」と明かす。コリジョンルール導入をめぐっては賛否両論があったが、「ボナファイド」も、野球の面白さを損なわないなら必要なルールだろう。

 

( SmartFLASH )

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