五輪に4度出場し、金1個、銀2個のメダルを獲得したスピードスケートの小平奈緒が10月27日、引退会見を開いた。
小平は会見で、札幌市が招致を進める冬季五輪について、
「(JOCから)シンボルアスリートとして札幌招致に協力してほしいという要望もあるが、スポーツの純粋な楽しさをもう一度、私自身も考えてみたいなというところがある。今は札幌五輪のことに関しては、いったん置いておいているところです」
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と語り、招致活動への参加要請を拒否したことを明らかにした。
さらに、
「五輪はスポーツをやる人たちにとっても、それを支える人たちにとっても、見る人たちにとってもいいものであってほしい。それを利用されたくないなっていう思いはある。
支えてくれる人たちが本当に真摯(しんし)にスポーツと向き合ってくれることをただただ願っています」
とも発言。具体的には触れていないものの、東京五輪に関わる不正疑惑が次々と明らかになっていることに、複雑な心中を吐露した。
SNSには、この小平の発言を称賛する声があふれている。
《これがまっとうなオリンピック選手の意見じゃないですか?》
《彼女のこういうハッキリと自分の考えを、的確な表現で発言する、聡明な所が大好きです》
《本当にこの人は、アスリートとしても人としても尊敬出来る。関係者からおかしな圧力なければ良いけど。そういうものには屈しない人だとは思いますが。お疲れさまでした》
《小平さんすごい。選手からのこう言う発信てなかなか出来ないと思うけど、してくれてありがとうって思います》
東京五輪の汚職事件では、大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者が受託収賄容疑で4度の逮捕、「AOKI」「KADOKAWA」「大広」「ADK」の関係者が贈賄で逮捕されている。
札幌市は2022年3月、札幌市民を対象に五輪招致に関するアンケート調査を実施。「賛成」「どちらかといえば賛成」が52%、「反対」「どちらかといえば反対」が39%だった。
しかし、その後に東京五輪の汚職が明るみになり、運営費も物価上昇を受けて200億円上積みされる見込みとなったいま、反対意見が増えている可能性は高い。
会見で「ジェットコースターのような日々だった」と現役生活を振り返った小平は、11月1日付で母校・信州大の特任教授に就任、2023年1月から教壇に立つという。
( SmartFLASH )