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【日本対クロアチア戦】深夜3時の敗北で「雨の渋谷」に取り残された若者たち「何も考えられない」「4年後へ喉を強化」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.12.06 21:15 最終更新日:2022.12.06 21:17
12月6日の午前0時にキックオフとなった「FIFAワールドカップ カタール2022」の決勝トーナメント1回戦、日本対クロアチアの一戦。
グループリーグ最終節で、日本は強豪・スペインに逆転勝利を果たしたとあって、過去最高成績となる「ベスト8進出」が期待された。
そのため、多くの人出が予想された渋谷だったが、あいにく12月5日の午後から、関東地方は大粒の雨に見舞われた。5日の午後11時ごろ、渋谷に到着すると、JR渋谷駅前やセンター街の人出はまばらだ。
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しかし、その中で約50名ほどの行列ができていたのは、『HUB』(スポーツ観戦できる英国パブ風の飲食店)だ。店内に入るためには、あらかじめ整理券を入手する必要があるという。並んでいた、デザイナーの女性(24)と男性(27)は、笑顔を見せながら話す。
「じつはさっきまで、2週間ほどカタールにいたんです。決勝トーナメントのチケットが手に入らなかったので、飛行機で東京に戻ってきてから、そのまま渋谷に来ました(笑)。
現地では日本人サポーターが大人気で、日本人だとわかると『一緒に写真撮って!』って頼まれるので、試合前後、2時間くらいは撮影タイムでしたよ。
HUBの入場券は、友人が3日前くらいに予約してくれました! 絶対に勝って、みんなで盛り上がりたいです」
記者も、W杯に合わせてイベントが開かれているほかのスポーツバーに入ってみると、中にはすでに多くのサポーターがスタンバイ。ユニホーム姿の彼らは、アルコール飲料を片手に、国歌の大合唱をおこなっていた。試合が始まると、約60名ほどが祈るようにモニターを見つめる。
店主は「お客さんは、ふだんの2倍くらい入っていますね。盛り上がってほしいです」と話した。
いちばんの盛り上がりを見せたのは、前半43分。日本が先制ゴールを決めた瞬間、店内には歓喜の叫び声が響き渡り、客同士でハイタッチが交わされ、日本コールが鳴りやまなかった。
店内にいたイングランド出身の男性は、
「普段はイングランドを応援しているけど、今日は必ずジャパンに勝ってほしいよ」
と興奮気味に話し、指笛を鳴らしている。
しかし、PK戦までもつれ込む激闘の結果、日本は敗北。史上初のベスト8の夢は、またもかなわなかった。スポーツバーの店内には、ため息とともに落胆の雰囲気が漂ったが、日本代表選手の健闘を称え、自然と拍手が沸き起こった。
4日前に歓喜で沸いた夜の渋谷は、静まり返っていた。大勢詰めかけた警察官が出る幕もなさそうだ。
試合終了は深夜3時ごろ。寒く、雨が降りしきる街には、取り残された若者たちが何人もいた。神奈川県川崎市から来ている会社員女性(24)の2人組は、
「負けたのは残念でしたけど、私たちにもいい夢を見させてもらえました。今日は4時からおこなわれる韓国対ブラジル戦をみて帰ります。会社はお休みをもらっているので大丈夫です」
と、笑顔を見せた。
一方で、目に涙を浮かべる大学生の男性(20)はこう言う。
「いまは何も考えられないです。でもPK戦までいけたから、よかったのかな、いまから友人と、4年後に向けて反省会をして、始発で帰ります」
スクランブル交差点では警察官が「立ち止まらず前を向いて歩いてください!」と繰り返しアナウンスを流すも、とくに目立った混乱もおこりそうもない。
始発待ちのため、カラオケや居酒屋に吸い込まれる人々が目につく。その中に、試合開始前に「HUB」に並んでいたカタール帰りの男女を発見。4時間前に比べると、かすれ気味の声でこう語った。
「僕もずっとサッカーやっていたので、同世代が頑張っていたと思うと、今日の結果は本当に悔しい。でも、ドイツとスペインに勝利する新しい歴史は作れたと思います。
4年後はアメリカ、カナダ、メキシコに行って、現地で観戦します! あと、喉の強化をしておこうとも思います」
わずか2週間で、歓喜、落胆、歓喜……そして落胆と、ジェットコースターのように乱高下を繰り返した渋谷の街。4年後、この街はどちらの「感情」に包まれるのだろうか――。
( SmartFLASH )