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アスレティックス藤浪晋太郎 “生涯一捕手”ノムさんが高評価していた「大谷よりストレートの質はいい」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.01.28 21:22 最終更新日:2023.01.28 21:28

アスレティックス藤浪晋太郎 “生涯一捕手”ノムさんが高評価していた「大谷よりストレートの質はいい」

アスレティックスの入団会見をする藤浪晋太郎(写真・共同通信)

 

 阪神からポスティング・システムを使ってオークランド・アスレティックスに移籍した、藤浪晋太郎投手(28)。同チームが、エース格のコール・アービン投手を放出したことで、藤浪の先発ローテーション入りはもちろん、開幕投手への抜擢も期待されている。

 

 高校卒業後、ルーキーの年から3年連続で2桁勝利を挙げ、飛躍が見込まれた藤浪投手だが、その後の7年間は一度も2桁勝利を記録することができなかった。しかし、これまで批判されがちだった自身の“荒れ球”が武器になるのではないかなど、MLBでの活躍に期待するファンも多い。

 

 

 移籍先がアスレティックスというのも、好材料のように思える。ワールドシリーズを9回制覇した名門チームだが、近年の成績低迷から、もっとも人気がない球団のひとつに成り下がってしまった。藤浪投手が所属した阪神タイガースとは好対照だ。大都市の球団に比べれば、マスコミやファンからの圧も弱く、のびのびとプレーできるのではないか。

 

“ノムさん”こと野村克也監督は、じつは藤浪投手のことを高く評価していた。手元に、監督の取材などの談話のメモがある。2014年のシーズン中には「試合後のコメントを聞く限り、藤浪はしっかりしている。マー君(田中将大投手)の1~2年めよりも上。さすが甲子園の優勝投手だ。マー君は(高校3年時は)決勝で負けているからな。とにかく、2人とも年齢の割にしっかりしているのは、共通している」とおっしゃっていた。

 

 さらに、2015年のシーズン中には「藤浪は何か持っている。オーラがある。賢そうだ。間違いなくプロ野球を背負って立つピッチャー」と評し、さらに注目すべきことに「大谷よりもストレートの質はいい」と断言していたのだ。2014~2015年といえば藤浪投手の2~3年めにあたり、2015年はセリーグの最多奪三振を記録するなど、絶好調だったころだ。

 

 その後、藤浪投手の成績が下降するにつれて、取材などで監督の藤浪投手への言及も少なくなっていった。「プロ野球を背負って立つ」という監督の予想は、現時点では的を射ていたとは言えない。

 

 監督は常々「投手の基本は真っすぐだ」と強調していた。速球派はもちろん、技巧派も、真っすぐで空振りが取れるかどうかが大事だと言っていた。他方、スピードガンの数字はただの目安であって、「“スピード”があっても“スピード感”がないのはダメ」という独特の表現もしていた。

 

 捕手として3000試合以上でマスクをかぶり、指揮官になっても「どうしても捕手目線で見てしまう」と話していた野村監督。いまでこそ回転数などが計測できるようになり、ストレートの質を客観的に評価できるようになったが、監督はその何十年も前から、投手のボールの質を見極めようとしていた。“生涯一捕手”を名乗った人物の目は、信ぴょう性が高いと言えるのではないか。

 

 もちろん、藤浪投手のストレートの質がいかによくても、それだけでMLBで活躍できる保証はない。ただ、日本での藤浪投手は、どこかストレスを抱えながらプレーしているように見えた。そこから解放され、質の高いストレートを武器にMLBでどんな活躍をするのか、たいへん楽しみである。そして、監督の予想の答えが出るのはこれからだ。

 

(文・小島一貴)

( SmartFLASH )

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