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【通算183勝&最年長43歳】ヤクルト・石川雅規投手が語った「全力で125km/hは唯一無二」「吉田正尚抑えた直球も128km/h」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.02.26 06:00 最終更新日:2023.02.26 06:00

【通算183勝&最年長43歳】ヤクルト・石川雅規投手が語った「全力で125km/hは唯一無二」「吉田正尚抑えた直球も128km/h」

石川雅規(写真・共同通信)

 

「ライターとしての僕の実力不足かもしれませんが、彼の “本性” 探ろうとしても、取材前から抱いていた『とにかく謙虚で真っ直ぐ』というイメージが崩れないんです」

 

 プロ入り22年め、球界最年長選手である東京ヤクルトスワローズの石川雅規投手(43)をこのように表わすのは、ノンフィクションライターの長谷川晶一(しょういち)氏(52)だ。

 

 

 2021年に、当時41歳だった石川の密着取材を始め、今年で3年めを迎える長谷川氏は、今では取材以外でも交流があるという。過去2年の取材をまとめた長谷川氏の著書『基本は、真っ直ぐーー石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)では、タイトルに「真っ直ぐ」という言葉を用いているが、それは石川の人物像だけでなく、彼の投球スタイルも表わしている。

 

 先発で6勝した昨季の直球の平均球速は132km/h。もっとも、2002年のプロ入り当初から、最速140km/hに届くかどうかだ。

 

「昔は球場で135km/hと表示されて、恥ずかしいと思ったこともあったそうです。でも、今は『むしろ遅ければ遅いほど抑えられるんじゃないか』と楽しんでいる節がありますよ。トレーニング法や選手の肉体も進化して、150km/hが当たり前の時代に、全力で投げた125km/hは唯一無二という考えなんです」(長谷川氏、以下同)

 

 昨年のオリックスとの日本シリーズで、それを実感できる場面があった。

 

「石川さんが先発した第4戦で、吉田正尚選手(現レッドソックス)をセカンドゴロのゲッツーに抑えた打席がありました。後日、どんな球を投げたのか尋ねてみたところ、『勝負の場面だから力を込めて投げたら、直球なのに128km/hしか出なかった』と明かしてくれました。じつは2021年の日本シリーズでも、吉田選手を130km/hの直球でセカンドフライに打ち取ったのですが、この2つが自分にとって、ベストピッチングだと言っています」

 

 身長167cmと、ほかのプロ野球選手に比べて小柄な石川は「小さな大投手」と呼ばれることが多い。しかし、その言葉に反骨心を抱いてきたことで、通算183勝を挙げる “本当の大投手” になれたのだろう。

 

「性格的には負けず嫌いで、小さいころから『チビ』と呼ばれることがとにかくイヤ。相手が『チ』と発しただけで、飛びかかっていたと教えてくれました。大きいやつには負けたくないという思いが、いまだに続けている勝負の工夫に繋がったと思います」

 

 長谷川氏が取材をしてきたなかで感じたのが、遺憾なく発揮される「聞く力」だった。

 

「ルーキーだった奥川(恭伸)くんにも投球について話を聞いていましたし、当時高校2年生で、投手として野球部に所属していた息子さんにもアドバイスをもらっていたんです。ダルビッシュ(有)投手のYouTube動画を見て、投球の研究もしています。それどころか、僕のような野球の素人にも聞いてくるんです。

 

 聞きたがっているのは、僕がほかの選手を取材したときに、彼らはどんな “表現” をしていたか。たとえば、投球のリリースの瞬間をどう言い表わしているか、と聞かれたことがあります。

 

 石川さん自身は今、それについて『蝶番(ちょうつがい)がついた容器などの “蓋” をする』といった表現をしています。コーチから言われて、これがいちばんしっくりきたそうです。

 

 でも、この表現がベストだとは思っていない。もっといい表現が自分にはあって、それをもとに投げたら『もっとすごい投球ができるんじゃないか』と、本気で思っています。43歳でも、いまだに発見していない “進化のルート” を探しているように感じています」

 

 今の石川には「小柄」以外にも、発奮材料が増えた。

 

「今度は『最年長なのに頑張ってるね』と言われるようになるから、『年は関係ないというところを見せたい』と話していました。キャンプも元気に過ごしていますが、直近の目標は開幕投手。そして、最多勝を獲るくらいの活躍をして、残り17に迫った200勝を今年中に達成させる。それくらいのことを本気で彼は考えているはず。

 

 神宮球場のクラブハウスのロッカーには、(50歳まで現役を続けた元中日の)山本昌さんの成績一覧を貼っていると教えてくれました。『昌さんができたなら自分もできる』と思えるところは、僕が素敵だと思う部分です」

 

 その山本昌は、43歳のシーズンでチームトップの11勝を挙げた。石川が今年中に200勝を達成するのも、本当に夢物語ではない。

 

写真 ・ 馬詰雅浩、 共同通信
取材協力 ・ 長谷川晶一

( 週刊FLASH 2023年3月7日号 )

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