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【日本ダービー】スキルヴィング、レース中に心不全で急死に衝撃を受ける人多数「競馬は動物虐待」の声も
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.29 15:30 最終更新日:2023.05.29 16:48
5月28日に東京競馬場でおこなわれた第90回日本ダービー(GI・芝2400m)は、4番人気のタスティエーラが優勝し、2020年に生まれたサラブレッドの頂点に立った。
競馬場を訪れた観客は7万人超。地鳴りのような歓声のなか、「競馬の祭典」にふさわしい熱戦が繰り広げられたが、その一方では痛ましい事故も起きた。
2番人気に推されていたのは、3連勝で前哨戦の青葉賞を制したスキルヴィング。名手・ルメールが騎乗することもあり期待されたが、最後の直線半ばで急に失速。ほかの馬たちから大きく引き離され、17着で歩くようにゴールした後、1コーナー付近でルメールが下馬。その直後、もんどり打って倒れてしまった。同馬はその後、馬運車で運ばれたが、死亡。JRAは「競走中に急性心不全を発症」と発表した。
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「直線途中で騎手が追うのをやめていることから、その時点で心臓に異変が起きていたものと思われます。そこで馬が倒れていれば、騎手は落馬、さらに大きな事故となっていた可能性もあります。まるで騎手を思いやるかのように、ゆっくりとスピードを落とし、騎手が下りてから倒れた姿を見て、胸が詰まります」(競馬ライター)
競走馬がレース中に心不全を発症することは、それほど珍しいことではないという。
「心不全とは、心臓が機能不全に陥り、心臓の動きが弱まるか停止してしまうこと。競走馬が心不全を起こすケースは、レース中では年間平均4.9頭というJRAの調査があります。近年では2021年、ユニコーンSのレース中にピンクカメハメハが発症し死亡。投げ出された騎手は、足を骨折しています。心房細動はさらに多く、年間平均34.2頭が発症。4月30日に行われた天皇賞・春でも、アフリカンゴールドが心房細動を発症し、競走を中止しています。
心不全は、サラブレッドが“究極のアスリート化”していることも一因ではないかという説があります。近年、育成技術が発達し、日本のサラブレッドのレベルは世界一とも言われますが、その分、競走馬の体にかかる負担は大きくなっています。飼い葉(馬の食事)も改良が重ねられ、以前よりカロリー価の高いものを与えなければいけなくなり、それが心不全の一因であるとも言われています」(前出・競馬ライター)
晴れの舞台で起きた悲劇に、多くの人が心を痛めており、SNSには
《レースを全うして 騎手が降りるまで倒れんかった姿が 涙しか出ん》
《最後まで頑張って走り切ってくれた彼が、天国でめいっぱい幸せに過ごせますように。どうか安らかに》
など、死を悼む声があふれている。だが、なかには
《競馬ファンは競馬こそ最悪の動物虐待だと思わないのかな》
などの意見も少なくない。
ゲーム『ウマ娘』の影響で、若い層の競馬ファンが増えつつあるなか、厳しい現実を目の当たりにした――とも言えるかもしれない。
( SmartFLASH )