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阪神・岡田彰布監督「ボヤき全開」の失敗劇から11年、若虎を開花させた65歳の“悟り”キャラ変

スポーツ 投稿日:2023.06.07 06:00FLASH編集部

阪神・岡田彰布監督「ボヤき全開」の失敗劇から11年、若虎を開花させた65歳の“悟り”キャラ変

笑顔が増えた今季。ホームランを打った選手をベンチ外まで出迎える様子も見受けられる(写真・共同通信)

 

「なんでひとつ負けて暗くなるんかなあ。一喜一憂しとったら、体がもたん」

 

 ある負け試合の翌日、阪神タイガース岡田彰布(あきのぶ)監督(65)は、チームの雰囲気をこう語った。それを聞いた、かつての “岡田番記者” は驚きを隠せなかった。

 

「2012年まで監督を務めていたオリックス時代は、試合後に喜怒哀楽全開でボヤいていましたからね。とくに、負けたときは厳しかった。『ミスばっかり』とあきれたり、『打てませんでした。で、終わんのか?』と、激怒したりすることもしばしば。

 

 

 チームには緊張感が漂っていました。しかし、今季は厳しい言葉はほとんどなく、選手も伸び伸びプレーしているように見えます」

 

 5月だけで19勝5敗と、驚きの絶好調ぶりで、セ・リーグ首位を独走している阪神。

 

 過去にも、2005年にリーグ優勝に導いた岡田監督だが、文字どおり完敗だった同年の日本シリーズや、最大13ゲーム差を巨人に逆転されてV逸した、2008年の“悪夢”ばかりが、ファンの間では語り草になっている。

 

 さらに、オリックスの監督を務めた3年間は5位、4位、6位と、Bクラスを抜け出せなかった。

 

「振るわなかったオリックス監督時代を振り返って、『厳しいだけではダメだ』と進んで考え直した結果、岡田監督は “キャラ変” を遂げたのです。

 

 春季キャンプ中は、ノックバットを手に仏頂面で練習を見ており、周囲もピリピリしていたのですが、キャンプの打ち上げで『いいキャンプが送れた。ありがとう』と、選手たちに頭を下げたんです。ここからだんだんと岡田監督の雰囲気が穏やかになり、選手たちも監督への恐怖心を持たなくなりました」(阪神担当記者)

 

 オリックスの監督退任後は、10年以上も指揮官として声がかからず、今季は11年ぶりの現場復帰。その間、岡田監督は静かに闘志を燃やしていたようだ。2022年2月、本誌の取材にもこう答えていた。

 

「もう1回、ユニホームを着たいという気持ちは持ってるけどな。(中略)気持ちを持っとかんと、(評論家として)野球とか観とられへんで」

 

 阪神担当記者は、この言葉を実践する姿を目撃していた。

 

「多くの野球評論家は、モニターつきの屋内ブースで試合を観ますが、岡田さんはいつも僕たちと同じ、記者席で観ているんです。理由を尋ねたら『守備形態、ランナー、ベンチと、グラウンド全体が見えるんや』と言い、つねに自分が監督だったらどうするかを考えていると。

 

 試合後には喫煙室で『あの場面、君はどう思う?』と、記者たちに意見を尋ねることもあったんです」

 

 それが発揮されたのか、“二軍の帝王”止まりだった村上頌樹(しょうき・24)が、プロ初勝利からあれよあれよとエース級に。現役ドラフトでソフトバンクから獲得した大竹耕太郎(27)は最多勝争いを繰り広げ、WBCで遊撃手を務めた中野拓夢(26)の2塁コンバートも大成功。打った手がすべて的中する“神手腕”を見せている。

 

「さらに、いまの岡田監督の特徴が『期待しないこと』です。大竹は『モノになればいいや』くらいでしたし、新外国人も『そんなホームラン打つ選手は日本に来ない』と考え、シュアな打撃のノイジー獲得を決めました。選手がミスを犯してもネチネチ考えない。まるで、“悟り”を開いたかのように見えます(笑)」(野球ライター)

 

 阪神OBで “辛口評論家” の江本孟紀(たけのり)氏も、“岡田阪神”を絶賛する。

 

「僕は、監督という立場は選手と一緒に喜んだり悲しんだりする『兄貴』じゃダメで、一歩引いたところで見る『親父』じゃなければいけない、というのが持論なんです。

 

 矢野(燿大)前監督のときは、監督の不安な感情がベンチに伝染していた。それじゃ、選手も不安になるわけですよ。今季はベンチの落ち着きが違うね」

 

 転生した“岡田菩薩”は真の悟りを目指して、まだまだ耐え忍ぶ。

( 週刊FLASH 2023年6月20日号 )

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