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大谷翔平、吉田正尚は打率3割を超えるのか…なぜか3割打者が少ない今シーズン、アラエスの4割挑戦に注目集まる
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.07.08 20:15 最終更新日:2023.07.08 20:15
今シーズンのMLBでの大きな話題の一つといえば、ルイス・アラエス選手(マイアミ・マーリンズ)の4割挑戦だろう。ミネソタ・ツインズに在籍した昨季は打率.316で、アメリカンリーグの首位打者に輝き、今季は現在.386。
1941年にテッド・ウィリアムス選手(ボストン・レッドソックス)が.406という打率を記録して以来、82年ぶりの偉業なるか、と注目されている。
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もちろん、われわれ日本人のMLBファンにとっては、大谷翔平選手がメジャー初の3割を記録するのか、吉田正尚選手が1年めから3割を超えるのか、というところが大きな関心事だろう。
今季は内野手の極端なシフトが禁止されたため、アラエス選手に限らず全体的に打率が上昇しているのではないかと思える。実際にここまでのMLB全体の打率は.248で、昨季の.243から5厘上昇している。
その一方で、3割打者の人数はかなり少ない。今季は現時点で11名しかいない。昨季も最終的に3割打者は11名だったが、オールスターまでは17名いた。
昨季までの過去10年において、60試合の短縮シーズンだった2020年を除けば、MLB全体の打率と3割打者の人数にはある程度の相関関係が認められた。全体打率が上がれば3割打者の人数も増えていたし、逆もまたしかりだったのである。
この10年間で全体打率がもっとも高かったのは2016年と17年の.255だが、3割打者の人数は2年とも25名と最多。全体打率.254の2015年は20名なのに対し、.253の2013年は24名と逆転現象も見られたが、以下、全体打率が高い順に見ると、打率.252の2019年は19名、.251の2014年は17名、.248の2018年は16名、.244の2021年は14名、そして.243の2022年が11名となっている。
今シーズンは全体打率.248なので、同じく.248だった2018年のように3割打者が16名程度になっても不思議ではないはずだ。まだシーズン途中なのでこれから増える可能性もあるが、2020年を除く過去10年間のデータを見ると、それも難しいと思える。
オールスターまでを前半戦と考えて、シーズン終了時と比較した場合に、前半戦よりもシーズン終了時に3割打者が増えたという年は、2015年(17名→20名)だけ。2021年は前半戦もシーズン終了時も14名で同数だったが、そのほかのシーズンでは軒並み、最終的には4~7名減っている。
シフト禁止だけではなく、ベースの大型化やピッチクロックなどさまざまなルール変更があった今季は、いろいろと例外的な現象が起こっているのかもしれない。
いずれにしても今シーズン、3割以上の打率を残すことは、好打者揃いのMLBでもほんの一握りのエリートだということになるだろう。これまでも「3割打者」は一つの勲章だったが、今季はより希少性が高まりそうだ。
そんななかでアラエス選手が4割を超えれば、とんでもない偉業ということになる。そして大谷選手と吉田選手はここまで大健闘し、最終的にどれほどの打率を残すのか、大いに注目したい。
※成績は日本時間7月8日時点
文・小島一貴(元メジャーリーグ通訳、現MLB選手会公認代理人)
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