スポーツスポーツ

山川穂高 ソフトバンク“批判殺到”獲得の背景に孫正義オーナーの「真のワールドシリーズ」構想

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.12.22 19:00 最終更新日:2023.12.22 19:00

山川穂高 ソフトバンク“批判殺到”獲得の背景に孫正義オーナーの「真のワールドシリーズ」構想

 

 本来なら国内FA移籍の発表会見は、選手にとって晴れの舞台になる場だ。プロ野球選手の平均プレー期間は、わずか7.7年と厳しい一方、国内FAの資格をとるためには145日以上の出場選手登録が8シーズンもなければいけないからだ。ところが、12月19日に国内FA権を行使し、ソフトバンクへの加入が決まった山川穂高の入団会見で、山川にはまったく笑顔がなかった。そればかりか、本拠地ペイペイドーム内の一室で行われた会見には、山川ほか三笠GMが出席したのみ。小久保新監督の姿はなかった。会見場の後方には球団関係者が多く陣取り、まるでこれから始まる会見の内容をチェックしているかのようにも見えた。

 

 会見は本人の謝罪から始まるなど、重たい雰囲気のなかでおこなわれた。山川は5月に強制性交の疑いで書類送検され、8月に嫌疑不十分で不起訴となったが、西武からは無期限の出場停止処分が科せられていたからだ。本誌はこれまでに、3軍選手に交じっての練習中に球拾いをするなど“下働き”している山川を目撃している。

 

 

 会見冒頭では、地元テレビ局のアナウンサーが代表質問で、いきなり「自局にも獲得への批判が届いているが、どう思うか」と“直球質問”を投げかけた。これには三笠GMが「球団にもたくさんの声が届き、議論を重ねました」「反対する意見もたくさん聞いた」と、苦しさをにじませていた。

 

 球団ばかりか地元マスコミにも、山川の獲得には反対の声が多数届いているという。にもかかわらず、なぜソフトバンクは獲得に動いたのか。会見にも出席した担当記者が語る。

 

「ソフトバンクは柳田、近藤に代表されるように左の強打者は揃っています。だが、右となるといない。そのため山川は補強としてぴったりだったと言えます」

 

 確かに、これまでにも山川の獲得でソフトバンクの戦力向上を期待する声はあった。しかし、反対の声を押し切ってまでも獲得に踏み切ったのは、オーナーの強い意向があったからだという。前出の担当記者が続ける。

 

「孫正義オーナーにはソフトバンクを常勝軍団に育て上げ、メジャーのチャンピオンと日本のチャンピオンで真の世界一を決める大会、いわば“真のワールドシリーズ”を実現したいという夢があります。だからこそ、2023年シーズン前には80億円もの補強費を使った。ところが3年連続のV逸。来季こそはV奪回を至上命令とし、批判を受けるのを承知で山川を獲りにいったのでしょう。王貞治会長は、最初はイメージの悪い山川の獲得に難色を示していたと言われていますが、この強い意向に最後は折れた格好になっています」

 

 山川には4年総額12億円プラス出来高(出来高)を用意したと言われている。なりふり構わず行った2年連続の大補強。だが、スポーツ紙デスクは「現在、ソフトバンクは非常に危うい状況にある」と語る。

 

「大金を使っても3年連続で優勝できなかった。そのため、嘉弥真新也と森唯斗といった中継ぎと抑えで活躍した功労者がチームを追われた。一方で、補強面で失敗した背広組をひとりも解雇していない。選手たちからは『選手は簡単に切るのに、フロントは誰も責任を取らない』といった声が多く聞かれているんです。もし来年も優勝できなければ、チームは空中分解するかもしれません」

 

 獲得反対の声が強く叫ばれるなか、ソフトバンク内ではフロント対選手の対立構造も……山川の苦難の道は、これからも続いていくようだ。

( SmartFLASH )

続きを見る

今、あなたにおすすめの記事

スポーツ一覧をもっと見る