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巨人・阿部新監督V奪還のカギは“年下投手コーチ”の「No!」…2年連続Bクラス原前監督の周囲は“イエスマンコーチ”だらけだった
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.12.22 19:40 最終更新日:2023.12.22 19:41
“イエスマン論争”が勃発している。12月17日、今季巨人の打撃コーチを務めたデーブこと大久保博元氏が自身のYouTubeチャンネルでゲストの元巨人・岡崎郁氏と対談。ともに、原辰徳監督のもとでコーチを務めた経験を踏まえ、デーブ氏は「原監督のみんなイエスマンだって言われるじゃないですか。イエスマンに決まってんじゃないですかね」と話し、岡崎氏も「そうそう」と同調した。
「監督とコーチは野球観が同じじゃないと務まりません。その意味で、デーブさんや岡崎さんは『イエスマン』と表現したのかもしれない。根本的な考え方が違って、毎日のように言い合いをしていたらチームは崩壊しますからね。だから、基本的にはイエスマンでいいと思います。ただ、人間ですから9割同じ考え方でも、1割くらいは違うはず。そのやり方で勝っているときはいいですけど、負けが込んで打開策が必要なときも監督の言うことに同調しているだけなら、悪い意味でイエスマンと呼ばれても仕方がない」(ベテラン記者。以下同)
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2023年8月16日の中日戦で、原監督は3アウトが成立した後のプレーについてリクエストを求めた。ファンからは「なぜコーチ陣が止めないのか」という批判の声が上がっていた。これについて、デーブ氏は「冗談じゃない! 監督が『よし! ビデオ判定だ!』って言ってるときに『ちょっと、ちょっと、ちょっと! 3アウトです!』って言うバカいるか? っていう。何か監督には考えがあるんだろ」と熱弁していた。
「この話を聞くと、2年連続Bクラスの責任はコーチ陣にもあると思います。原監督のような名将でも、間違いはあるんです。デーブさんは『監督には考えがあるんだろ』と言っていますが、リクエストのプレーの前に3アウトが成立しているから、判定が覆ってもチェンジです。たんなる勘違いだったと思いますし、そのくらいは指摘してもいいのではないか」
イエスマンばかりでは優勝できないと、巨人の歴史が物語っている。前人未到の9年連続日本一を成し遂げた川上哲治監督の傍には、“名将にもノーと言える”牧野茂コーチがいた。
「川上監督のサインが失敗すると思えば、三塁コーチャーの牧野さんが作戦を自ら変えていた。しかも、それが当たる。もちろん、牧野さんは在任中そんな事情はいっさい口外せず、『監督の作戦が素晴らしかった』と言っていました。V9の後半になると、川上監督は攻撃面のサインを牧野コーチにまかせた。コーチは監督の言葉にただ同意するのではなく、監督の思いつかない発想や視点での助言も求められます。監督が間違っていると思えば、さりげなく進言する勇気も必要とされています」
1975年、川上監督の後を継いだ長嶋茂雄監督は、関根潤三氏をヘッドコーチに招くなど思いのままに組閣をした。しかし、早すぎる投手交代や代打策などをコーチ陣が止められず、長嶋采配はカンピューターと揶揄され、球団史上初の最下位に沈んだ。
「翌年、フロントは長嶋監督より11歳年上で監督経験もあるフォークボールの元祖・杉下茂さんを投手コーチにしました。これによって、不可思議な投手交代にもブレーキがかかるようになり、巨人は優勝した。張本勲をトレードで獲得するなどの戦力補強も大きかったですが、物申すコーチの誕生もV奪回のキーポイントになりました」
長嶋監督の実質的な解任の後を受け、1981年に就任した藤田元司監督は王貞治助監督、牧野ヘッドコーチのトロイカ体制を組んで、3年で2回優勝した。
「初めての監督業となる藤田さんにとって、V9の名参謀である牧野さんの存在は心強かった。監督は絶対的な権力者であると同時に孤独な職業ですから、相談相手にもなれる年上のコーチは必要なんです。1984年に王監督が就任したとき、まわりはすべて年下だった。その年、球団創立50周年で優勝を至上命題にされながら、王巨人は3位に終わった。3年後、王監督が初めて優勝した年には、ロッテや中日で監督を務めた山内一弘打撃コーチがいました」
原監督が就任1年めで日本一に輝いた2002年には、鹿取義隆ヘッドや篠塚和典総合コーチ、内田順三打撃コーチなど年上がいた。第2次原政権でも、ヤクルトやダイエーを日本一に導いた尾花高夫投手コーチ、西武ライオンズ黄金時代の三塁コーチャーである伊原春樹氏が招聘され、2007年から原巨人は3連覇を成し遂げた。
「彼らは原監督の意向を汲みながらも、たんなるイエスマンにはならなかった。デーブさんのように、監督の意見をすべて受け入れる従順なコーチも組織内には必要なんでしょう。しかし、全員がイエスマンになれば、チームは沈みます。それが今年の巨人だった。原監督が高齢になっていたため、年上を呼ぶことは難しくなっていたが、首脳陣に1人か2人は監督に物申せるコーチが必要になります」
原監督からバトンを受け継いだ阿部慎之助監督は、“イエスマン”に取り囲まれる危険はないのか。
「二岡智宏ヘッドは2歳、村田善則総合コーチは5歳、川相昌弘内野守備コーチは15歳も年上です。初めて采配を振るう阿部監督にとって、経験豊富な川相コーチの存在は大きいですし、今年のようなイエスマン体制にはならないと思います。懸念材料があるとすれば、現役時代にバッテリーを組んだ年下の杉内俊哉、内海哲也という両投手コーチです。もし、阿部監督が原監督のような“マシンガン継投”を連発しすぎた場合、意見を言えるかどうか。来年の巨人の浮沈はそこに懸かっているかもしれません」
( SmartFLASH )