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さらば「蒙古の殺し屋」キラー・カーン…居酒屋営業中に急死、本誌が報じていた「人情接客」と“予兆”
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.12.31 16:06 最終更新日:2023.12.31 16:20
元プロレスラー「キラー・カーン」こと、小沢正志さんが12月29日に亡くなった。享年76。東京・西新宿で経営する居酒屋「カンちゃんの人情酒場」の営業中に倒れ、救急搬送されたものの、意識は戻らずそのまま息を引き取った。死因は動脈破裂だという。
元幕下力士の小沢さんは1971年、日本プロレスに入門。「蒙古の殺し屋」のキャラクターで人気レスラーとなり、1987年に引退。その後は、スナックや居酒屋を経営し、自ら接客していた。
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JR新大久保駅近くで「居酒屋カンちゃん」を経営していた2017年、本誌では同店を潜入取材している。
店に入ると、当時70歳だった小沢さんが直接お出迎え。「ウチはなんでもうまいんだよ! 餃子と十全なすの浅漬けを食べてみな!」と、記者におすすめを教えてくれた。新潟県出身の小沢さんだけに、日本酒は新潟の地酒が中心。それに合うツマミが豊富で、日本酒を注文すると、升に入れたグラスからあふれるほど注いでくれるという大サービス。
キラー・カーンは悪役レスラーだったが、小沢さん本人は非常に優しい人柄であることは、プロレスファンなら誰もが知っていること。ただ、お店ではファンと話し込んでしまうこともしばしばで、注文するタイミングが難しいということも……。
そんな小沢さんが「ひき逃げ」とされるトラブルを起こしたのは、2020年12月のこと。小沢さんが自転車で走行中、20代女性と接触し前歯を折ったとして、書類送検されたのだ。
本誌は当時、この件を取材。小沢さんは経営する居酒屋へ自転車で通勤しており、前後のカゴに仕入れた食材を詰め込みママチャリで走る姿は、「新大久保名物」のようになっていたという。近所の住人は「カーンさんの自転車はいつも、ものすごくふらついていました。あまりに危ないので、地元ではカーンさんの自転車には近づかないようにしていたくらいです」と証言している。
また、居酒屋の常連客も「注文を間違えることは以前からよくありましたが、最近は、ほとんど覚えていない、ということも。また、気に入らないお客と口論を始めることもありました。一度、検査してもらったほうがいいとすすめていたんです」と“予兆”を感じていたという。
自転車事故の件は不起訴となったが、嫌がらせが相次いだことやコロナ禍もあって、居酒屋は2021年5月に閉店。2022年3月には、YouTubeチャンネルでS状結腸がんを患っていることを公表していた。
そして2023年3月には、「カンちゃんの人情酒場」を開店。最後は、自分の店という“リング”で倒れたのだった――。
「カンちゃんの人情酒場」の公式Xが最後に更新されたのは、12月29日午後4時53分。倒れる5時間ほど前に撮ったと思われる写真で、小沢さんは、右手の拳を力強く握り、優しく微笑んでいる。合掌――。
( SmartFLASH )