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バトントワリング「エース指導者」が起こした「性加害」…被害生徒をいまも苦しめるチームと協会の “二重の裏切り”
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2024.01.21 06:00 最終更新日:2024.01.21 10:55
加害指導者は示談書を突き返した
小城氏が、被害者の両親と初めて面会したのは、5月初旬のことだった。稲垣氏から「小城が謝罪をしたいと言っている」と、両親のもとへ連絡があったという。
「ご両親の希望としては、とにかく子どもがチームに戻れるようにすること。その旨を伝えて、その場は解散したそうですが、後日、小城氏の思いをつづった文書が両親に届けられたそうです。
そこには『バトン協会からの退会』『GENESISでの無期限活動停止』が宣言されていました。ご両親はその内容に『子どもが競技に復帰するまで、いっさいかかわらないこと』を追記して、示談書として書き直し、小城氏に提案したのです」
これで一件落着かと思いきや……。自らしたためた “宣言” を、小城氏は撤回してきたのだ。
「ご両親の提案から数日して、小城氏は『弁護士に相談したら、この示談書にサインしたら一生バトンができなくなるといわれた。サインはできない』と突き返してきたというのです」
その後、小城氏は示談するどころか、両親に連絡することすらせず、ひっそりと海外へ向かい、姿を消した。いまに至るまで、小城氏とは協会も連絡が取れていないという。
一方、協会の対応にも、両親は疑問を残したままだった。当初、被害の報告を受けた理事長は事務局長に報告したのみで、協会として何か対応することはなかったという。
当時の理事長であった戸田里美氏は、2023年5月いっぱいで任期満了となり、理事長を退任。現在は、内田圭子氏が理事長に就任しており、冒頭の処分を公表しているが、その際は戸田前理事長の “共有不足” についても言及し、当時の対応を批判している。
「6月になって新体制が発足し、ご両親はあらためて協会に告発文を提出。それまで理事長と事務局長の間で閉じていた問題が、協会内で公になりました。
その後は報道のとおりで、新理事長のもと、外部調査委員会が立ち上がり、2023年末に前理事長と稲垣氏らに会員停止処分が下りました」
被害から約10カ月、今度こそ解決かと安堵した両親は、またも心を砕かれることになる。初めに両親を裏切ったのは、チームの責任者・稲垣氏だった。
「9月ごろ、糾弾される立場となった稲垣氏は周囲にこう言いふらし始めました。『小城の性加害は、じつは同意のもとだったんだ』『じつは2人は交際していたんだよ』と。
当然、これらの内容に、ご両親は猛反発しました。被害者生徒にとって、世界大会で活躍していた稲垣氏は、あこがれの存在でした。そんな、熱烈に信頼していた稲垣氏の発言に、生徒はショックを隠せない様子だったといいます。
ご両親は後日、稲垣氏に『なんでそんなウソを言いふらすんですか』と問い詰めたそうです。すると稲垣氏は、否定もせずに黙ってしまったといいます」
( SmartFLASH )