工藤公康監督(54)が宙に舞った瞬間、歓喜のボルテージは最高潮に達した。戦前の予想どおり、日本一に輝いたソフトバンクだが、この優勝は「裏MVP」ともいうべき名参謀抜きには語れない。
今シーズン初めに、工藤監督が三顧の礼をもって迎え入れた達川光男ヘッドコーチ(62)、その人である。
「2011年に工藤監督が横浜から監督の打診を受けたとき、『達川さんをヘッドに』と要望したほどの仲。このときは横浜が断わったため実現しなかった。
じつは工藤監督と選手は、意思疎通がうまくいっているとはいえない。現役時代から理論派だっただけに、説明が小難しい。
そのため、選手に対しての厳しい言葉や難解なアドバイスには、達川ヘッドが間に入り、ユーモアも交えて “通訳” をこなし、ワンクッションの役回りを演じている。
選手からの信頼も厚く、『達っちゃんを胴上げしよう』が、今シリーズの合言葉だった」(担当記者)
そして、なんといっても孫正義オーナー(60)の存在が大きい。
「孫オーナーは、本気で日本シリーズの勝者とワールドシリーズの勝者による世界一決定戦を考えている。米携帯会社を買収したのも、米国での知名度を上げるため。その夢を実現させるためには、金に糸目をつけない。育成選手を含まない日本人選手の年俸総額は、42億800万円と2年連続のトップ。『金は出すが口は出さない』の典型。
また、次の目標に掲げているのがJリーグへの参入。クラブW杯は、2021年から枠を24に増やす案があるため、そこ に出場してレアルと戦えば、試合は全世界へ中継される。そういう野望があると聞いている」(球団関係者)
かつて野村克也氏は、「孫オーナーはビールかけにまで出てくる。そこまでやるオーナーは見たことがないし、 選手は意気に感じる。当分は、ソフトバンクの時代が続く」と語っていた。
常勝軍団にとって日本一は必然の結果だった。
(週刊FLASH 2017年11月21日号)