ソフトバンクが無類の強さを発揮し、パ・リーグで独走モードに突入している。2024年7月2日現在、72試合を消化して49勝20敗3分けと勝率は驚異の.710にものぼっている。
「とくに6月の成績はすごかった。17勝5敗1分けも見事ですが、全カード勝ち越しはなかなかできない記録でもある。その要因となっているのが他球団も羨む選手層の厚さです」(ソフトバンク担当記者・以下同)
しかし、個人に目を向ければ、チームの“大黒柱たち”が本調子というわけではない。
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5月31日の広島戦では、チームの精神的支柱である柳田悠岐外野手が右太もも裏を痛め、今季大ピンチに陥った。チームは落ち込んで勢いを失ってもおかしくないところだが、その不安を吹き飛ばして6月は勝ちまくった。
ほかにもWBCメンバーである牧原大成内野手がケガで離脱。開幕から4番を任された山川穂高内野手は、極度の不振に陥っている。彼の代名詞である本塁打は、じつに128打席連続鳴りを潜めている。
さらには、今季から4年40億円の大型契約を結んだ守護神オスナも万全の状態とはいいがたい。2022年はロッテで1本、2023年はソフトバンクで3本と、被本塁打は年間で最小に抑え、「本塁打を打たれにくい投手」として有名だったが、今季の試合数はまだ半分の消化にもかかわらず、すでに昨季と並んで3本打たれている。19セーブを挙げてパ・リーグのトップに立っているものの、0勝2敗で防御率は4.13と振るわない。
そうした攻守の要が不調となれば、負けが込んでもおかしくないが……なぜここまで不調の選手が多いのに、首位を独走できるのだろうか。前出の記者が答える。
「ここまで好調でいられる要因はいくつもありますが、なかでも移籍2年めの近藤健介の存在が大きいですね」
近藤はここまで打率.355、13本塁打(ともに1位)、47打点(2位)と、三冠王を狙える位置にいて、圧倒的な打力でチームを引っ張っている。しかし、彼の貢献は、決してスイングだけではないという。
「とにかく練習をする選手なんです。試合で結果を出しても、自分で納得がいかないと試合後もスタジアムに残って打ち込んでいます。そうした姿を若手は見ていますし、いちばん結果を出している選手がそこまで練習すれば、『自分たちもやらなければ』となります。彼の周りには教えを請う若手が列をなすといった感じなんですが、今季外野から内野に転向した栗原陵矢にとってはまさにそう。栗原にとって近藤は打撃の師匠といった感じです。
また、近藤はオンとオフの使い方もうまい。休みのときには、若手選手をよく飲みに連れて行く“兄貴分”です。ついつい飲みすぎた翌日は、ヨットパーカーを着込んでいつにもまして外野を走りまくっていますよ(笑)」
主力が不調でも、それを補う存在に事欠かないのがチーム好調の所以だ。
( SmartFLASH )