スポーツ
今永翔太、新人王獲得を阻む「壁」…現地記者が「成績だけなら文句なし」と太鼓判も、下馬評は “3番手”
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2024.09.27 20:05 最終更新日:2024.09.27 20:05
今永昇太に対する今季開幕前の期待値は、それほど高くはなかった。打者を圧倒する速球や、思わず腰が引けてしまう変化球があるわけではなく、日本で成績も8年で64勝と、飛び抜けたものではなかったからだ。
しかし、いざふたを開けてみると、回転数が多くスピンの効いたストレートを高めに、切れ味鋭い変化は低めにと、最近のメジャーのトレンドを取り入れたピッチングで、カブスファンから絶大な信頼を得た。
9月27日現在、今永は15勝3敗、防御率は2.91と、間違いなくエースの活躍を見せている。
【関連記事:ストレートが遅いのになぜ? 今永昇太が山本由伸を成績で大きく上回っている“意外な理由”】
ここまで素晴らしい成績を残しているならば、「新人王は確実」と思いたいところだが、実際はそうではないという。現地記者が解説する。
「成績だけでいうなら文句なしの候補一番手です。対抗と見られるのは、野手ではダルビッシュ有のチームメイトのジャクソン・メリル外野手。打率.290、24本塁打、89打点は見事です。投手では160キロの剛腕ポール・スキーンズですね。ここまで11勝3敗で防御率は驚異の1.99。ただ、メリルは全体的な成績で劣るし、スキーンズ投手は規定投球回数に達していない点がマイナスポイントです。
でも、現地での評価は彼ら2人のほうが上で、今永は3番手と見られています。
なぜかと言えば、これは1995年に新人王を獲った野茂英雄のときから言われていますが、『日本人選手は日本のプロ野球でプレーしてからメジャーに来た。純粋な新人ではない彼らに新人王を与えていいのか』というムードがあるからなんです」
海を渡った日本人選手が活躍するたび、この “資格” にまつわる議論が繰り返しおこなわれてきた。
そして、もうひとつある “壁” が、外国人にあげていいのかというファン感情だ。たとえば、イチローも身の危険を感じるほどのブーイングを受けたと述懐している。時には、25セント硬貨や氷を投げ込まれることもあった。それほど、外国人に対する視線は厳しい。
日本人がメジャーで新人王を獲得したのは、先の野茂英雄に始まり、2000年の佐々木主浩、2001年のイチロー、そして2018年の大谷翔平と4人いるが、ほかにも獲ってもおかしくない成績を残した選手は数多くいた。
「なかでも惜しかったのが、2003年の松井秀喜です。シーズン当初は微妙に動くボールに苦労して打球が上がらず、“ゴロキング” なんて揶揄されましたが、終わってみれば打率.287、16本塁打、106打点と立派な成績でした。
とくに名門ヤンキースの重圧をはねのけ、1年めから打点が100を超えるというのはなかなかすごいことです。それでも新人王は獲れませんでした。
では、その年に獲ったロイヤルズのアンヘル・ベローア内野手の成績はどうだったかというと、打率.287、17本塁打で2部門は松井と同格でしたが、打点が73と大きく下回った。
チーム順位でも、ロイヤルズはプレーオフに進めませんでした。松井は東地区で優勝に貢献し、敗れはしましたがワールドシリースにも進んだ。チームへの貢献でも松井が上だったんです。
それでも4票差で獲れなかったのは、松井が日本のプロ野球経験者ということと、『日本人にはあげたくない』という “壁” があったからでしょう」(前出・現地記者)
今永の今季の成績は、勝利数と防御率でナ・リーグ3位となっているが、はたして受賞はできるのか――。
( SmartFLASH )