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「侍ジャパン」井端監督、MLBキャンプ“第一訪問先”で堅実イメージから一転、見せ始めた“自分の色”
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侍ジャパンの井端弘和監督(写真・桑原 靖)
2月14日、野球日本代表「侍ジャパン」の井端弘和監督が、3月に京セラドームでおこなわれる強化試合・オランダ代表選のメンバー28人を発表した。井端監督は会見を終えると、休む間もなくその日のうちに渡米。MLB組視察のためだった。
歴代の侍ジャパンの監督と比べ、どちらかというと「静」のイメージが強かった井端監督。堅実な仕事人というイメージを持つ人も多いが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が1年後ということもあり、2025年に入って精力的に動いている印象がある。
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「侍ジャパンの監督に就任したのは2023年で、世界一に導いた栗山英樹氏の後任でした。相当なプレッシャーがあったはずです。
巨人の一軍内野守備走塁コーチなどを務めたことはありますが、プロの監督経験はなく、次回WBCまで3年あるということで、そこまでに大物を就任させるための“つなぎの監督”といわれたこともありました。
ところが、作戦面や指導力で地味ながら堅実な仕事をこなすと、評価は上がっていきました。結果、2026年のWBCまで続投となったわけです。
ただし、堅実さはいいとしても、『自分の色をなかなか出さない』と、不満の声があったのも事実です」(スポーツ紙デスク)
現役時代は、遊撃手で史上2位となる7回ものゴールデングラブ賞を獲得している井端監督だが、ここでも華麗さより堅実さが際立っていた。そのため、監督としての評価が同様であっても仕方がない、といったところだろうか――。
ただ、前出のデスクは「ところが、今回の渡米で初めて自分の色を出したのではないか」と語る。その理由は、いのいちばんで訪れたのが、エンゼルスの菊池雄星だったからだという。
「これまで5回あったWBCで、意外なことに左腕エースとして活躍した投手は、ほぼいないんです。第1回大会から3大会連続で出場した杉内俊哉投手ですが、当時、日本が用いていた、先発のあとを受けてのロングリリーフとなる“第二先発”役でした。もっとも活躍したとされる第2回大会でも5試合に登板していますが、うち4試合はリリーフ。シーズン中とはまったく違った使われ方でした。記憶に新しい前回大会では、今永昇太と宮城大弥が左腕エースとして期待されましたが、大会を通じての活躍はかないませんでした。
井端監督は過去のデータをよく読み込む人なので、『日本には左腕エースがいない』ということは理解しているはずです。だからこそ、左腕である菊池のもとを最初に訪れたのでしょう。ここに、井端監督が出したい“色”が垣間見えました。
ほかの人が監督だったら『次も出てほしいから』といって、真っ先に大谷翔平を訪ねて行ったのではないでしょうか」
視察した井端監督は、菊池と約10分間、会談。その後、取材に応じると「昨年終盤、手をつけられない投球をしていた。日本のためにやってくれればうれしいし、投手陣を引っ張ってほしい。軸としてやってもらいたい」と、熱き思いを語った。
菊池も「まず、けがなくシーズンを過ごして、健康であれば、前向きに考えたい」と、初となるWBC出場に意欲を見せた。