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練習時間は週30分なのに、世界大会優勝経験も!「インドア・スカイダイビング」ギネス記録2つ所有する“スーパーJK”の素顔とは?

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記事投稿日:2025.05.06 11:00 最終更新日:2025.05.06 11:00
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
練習時間は週30分なのに、世界大会優勝経験も!「インドア・スカイダイビング」ギネス記録2つ所有する“スーパーJK”の素顔とは?

インドア・スカイダイビングの河野冬妃選手(写真・梅基展央)

 

 時速180kmの風圧を受けて浮き上がり、伸びやかに宙を舞う肢体は回転・宙返りも自由自在。力強く優美に舞い踊る様は、さながら空中のフィギュアスケーターとでも言おうか――。

 

「インドア・スカイダイビング」というスポーツがある。一般にはまだまだ耳馴染みのない分野だが、簡単に言えば、屋内でスカイダイビングと同じ状況を作り出し、疑似“空中遊泳”を楽しむスポーツ。「ウインドトンネル」と呼ばれる巨大ファンを備えた装置から、垂直に吹き上げる風に乗って体を浮遊させることで、未知の飛行体験を味わえる。アクティビティとしてはもちろん、空中でのパフォーマンスを競い合う競技スポーツとして国際大会も開かれるなど、世界的に盛り上がりを見せているのだ。

 

 そんな同スポーツを国内で牽引するホープとして、いま注目のインドア・スカイダイバーが河野冬妃さんだ。2008年1月29日生まれの17歳。都内の高校に通う女子高生だが、じつはインドア・スカイダイビングのギネス世界記録を2つも持つ“スーパーJK”である。

 

 

 今回、彼女がかつてギネス記録を達成した埼玉県越谷市のインドア・スカイダイビング施設「FlyStation」で、インタビューを敢行した。

 

「ギネス記録に挑んだのは2021年7月23日、まだ13歳のときでした。『前後開脚回転』『水平回転』という2つの技で、1分間の回転数を更新できるかチャレンジして、2つとも成功することができました(『前後開脚回転』は78回、『水平回転』は60回)。ギネス記録への挑戦は小林堅志朗コーチの勧めだったんですけど、練習してみたら意外といけそうだなって(笑)。どの動きが難しいかは選手によってまちまちですが、私の中では正確性というものが課題で。例えば、回るにしても、完全に真ん中で回るっていうのがちょっと苦手だったり、フラフラしないようにバランスを維持するのが一番難しく、そこを何回も繰り返して練習しました」(以下「」内は冬妃さん)

 

 取材時、カメラの前で華麗なフライトを披露してくれた冬妃さん。難なくこなしているように見えるが、初心者は強烈な風のなかで姿勢をキープすることすら難しいという。逆さになって月面宙返り、開脚した状態でうつ伏せになって回転など、高度なアクロバティック技を次々繰り出すボディコントロールは新体操で培ったもの。

 

「選手として新体操を一番ガチガチにやっていたのが小学生までで、中2で辞めました。オーストラリアに留学していたころは、新体操の大会で優勝したことも。ただ私の場合、体が柔らかいのが有利にはなっているんですけど、柔らかすぎて逆に制御できない部分もあるので、そこが課題かなと思っていました。インドア・スカイダイビングでも体が柔らかいからなんとなくできちゃうみたいなことが多くて、筋肉を使って動きをコントロールするのが苦手な部分。柔らかさを維持しつつも、柔らかさに頼らずに飛べるようにもなりたいと思いますね」

 

 数々の国際大会で優勝・入賞経験を持つ冬妃さんだが、意外にも本格的に選手としてトレーニングを始めたのはここ最近のことだとか。

 

「インドア・スカイダイビングと出会ったのが、2018年に旅行で訪れたオーストラリアでした。現地だとレジャーのひとつとして親しまれているんです。私も遊びのつもりで何回かやっているうちに、習い事として始めるようになりました。そしたら、トレーニングらしいトレーニングもせずに現地の大会で優勝できたり、趣味半分で楽しくふわふわ飛んで、なんとなくいい結果が出ていたんですよね。2024年からは国際大会に出るために、本格的にトレーニングを始めるように。圧倒的に練習時間が足りないことを思い知って、そこから意識が切り替わりました」

 

 トレーニング環境に関しては、如何ともしがたい“壁”を実感している。

 

「ヨーロッパとかの選手に比べると、どうしても練習に割ける時間が少ないという悩みがあります。今は学校が終わって、ダッシュで電車に飛び乗り1時間以上かけて、越谷の施設まで通っています。毎週金曜日の30分間が、インドア・スカイダイビングの練習時間。海外の選手は1カ月10時間とか練習する人もザラですが、どうしてもトレーニングの費用が高くなってしまうため週1が限界なんです。割引価格となる金曜日でも1時間8万円、30分4万円かかってしまうので、練習時間はなかなか増やせません。少ない練習量で、トップ選手に追いつくのはやっぱりすごい大変で……。

 

 海外の選手には、大会に同行してくれる専属コーチがいるのも羨ましくて。今は日本のコーチと一緒にやっているんですけど、大会のときは私ひとりか、両親と行くしかない。現地でコンディションを調整するのも難しいし、そういう面では壁にぶつかっていると言えます」

 

 学業とインドア・スカイダイビングだけでも多忙を極める冬妃さんだが、書道とピラティスの習い事も。さらにもうひとつ、インドア・スカイダイビングと同等に打ち込んでいるモータースポーツがあるのを打ち明けてくれた。それがレーシングカートだ。

 

「じつは、茨城のレーシングサーキットに毎週日曜、通ってるんです。先日は『IMSP SPEED GAMES 2025』というカートの大会で優勝し、表彰台に上りました。今はカートもインドア・スカイダイビングもどちらも捨てがたくて。高校から大学に進学して、卒業するまでは学業と両立していきたいなと思っています」

 

 才能あふれる彼女なら、“二刀流”も決して不可能ではないのかもしれない。インドア・スカイダイビングの競技者としての目標はというとーー。

 

「現実問題、練習時間の確保の見込みがついてからじゃないと、具体的な目標とかは何とも言いにくいのが現状です。今はジュニア部門なんですけど、来年18歳になったらオープンという“大人部門”に移行しないといけなくて。そのクラスに行ったとき、自分の中で納得できる成績を出すことが目標にはなってますね。あと、費用面を助けてくれるスポンサーを探さないと(笑)。今年8月に全豪大会があるのと、来年1月にスペインで『The Wind Games』という大会が開かれるので、そのあたりが直近で出場する予定の大会です」

 

 最後に、お年頃の女の子でもある冬妃さんに、気になるプライベートを聞いてみた。

 

「こんなふうだから、プライベートで特に気になる人もいなくて。もともと交友関係が広いほうでもないので、一部の仲がいい友達としか会わないんですよ。タイプとしては取り繕わなくていい男性がいいなと思いますけど、今は特に彼氏が欲しいとかもないです! 自分のことをしっかりやりたいので、恋愛だけにハマるのはちょっと……。これから少しずつ頑張っていこうかな(笑)」

 

 近い将来、オリンピック競技として採用される可能性もあるインドア・スカイダイビング。日の丸を背負い、世界の猛者相手に華麗に舞う姿が早く見たい。

 

こうの・ふゆき

2008年1月29日生まれ 2019年、新体操オーストラリア州大会『RG STATE CHAMPIONSHIPS level5』で優勝。同年、インドア・スカイダイビングのオーストラリア全国大会『AUSTRALIAN OPEN INDOOR CHAMPIONSHIPS Junior Freestyle Intermediate』で優勝。2021年、インドア・スカイダイビングのギネス記録である『水平回転(The most 360 horizontal spins in a wind tunnel in one minute)』の個人部門で60回、『前後開脚回転(The most front split spins in a wind tunnel in one minute)』を78回で世界記録を更新した

 

撮影協力:FlyStation (所在地:埼玉県越谷市レイクタウン6-19-3)

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