
大麻が見つかった天理大ラグビー部の寮(写真・馬詰雅浩)
全国大会で日本一に輝いた実績を持つラグビーの強豪校・天理大学が揺れているーー。
ことの発端は、6月11日にラグビー部員2名が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたことだ。
「天理大学のラグビー部は、1925年に創部されると着々と実績を重ね、関西を代表する強豪校として活躍してきました。2021年には大学ラグビー部の日本一を決める『第57回全国大学選手権大会』で早稲田大学を破り、悲願の初優勝。関西勢として36年ぶりの栄光を手にしました。
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創部100周年を迎える2025年は『2025関西セブンズフェスティバル』にて2連覇しましたが、出場中だった『関西大学春季トーナメント』は部員の逮捕を受けて“出場辞退”という不本意な結末を迎えましたね。
寮で共同生活を送っていた大学3年生の部員2人の部屋から大麻が見つかったのですが、きっかけは逮捕された1人が『テレグラム』でやり取りをした密売人が別件で逮捕されたこと。芋づる式に同大学の学生の関与が発覚しました」(社会部記者)
ラガーマンとしての飛躍を夢見て同校のラグビー部に所属しているのは約140人。2人の逮捕が与えた影響は大きく、大学は7月2日に処分内容をHPで発表している。
《ラグビー部に対する、7月末までの活動停止処分》
《ラグビー部部長の解任および監督の3か月間の職務停止、ならびに他の指導者に対する厳重注意処分》
わずか2人の部員の不祥事で部全体が謹慎をするのだから厳しい処分だ。ところが、
「謹慎処分どころか、毎日活動していますよ……」
とささやくのは、大学関係者だ。
「練習は天理教の施設である『親里ラグビー場』が使用されており、大学は部がスケジュールを抑えることを容認しています。活動停止処分と言っておきながら、実際はほぼ毎日、部員たちが集まって練習を重ねているというわけです」
同関係者は、そもそも“ラグビーの強さ”を重視するあまり、同部員が学生としての本分を忘れていると指摘する。
「学内でのラグビー部の評判は散々ですよ。『俺たちはラグビーをするために天理大学に来た』という態度なので、学業よりもラグビー優先が当たり前の姿勢。柔道部や野球部もそうですが、勉学よりも部活優先で、授業を受ける態度も非常に悪いんです。ラグビー部内では、逮捕された2人が大麻を所持しているという噂が以前からあったそうですよ。
“強ければいい”という考えが進むあまり、研究・教育機関としての本来の使命を忘れていないか、疑問です。今回の一件は大学の体質そのものを見直すきっかけにすべきですよ」
実際、本誌が7月中旬、練習がおこなわれているというラグビー場を訪れると、コーチらしき人物とともに、十数人の部員が汗を流しているのを確認した。一連の事態を天理大学に問い合わせると、
「処分は、あくまでラグビー部としての組織的な活動を停止するものであり、部員個人が自主的に行う練習や運動についてまで禁止するものではございません。大学としても、一学生が個人の自由意思で運動を行うことまで制限することは適切でないと判断しております」
とした上で、
「今回、貴社からのご指摘により、クラブ活動と見なされ得る規模での練習が行われていたことが確認されました。ラグビー部に確認したところ、個々の部員が自主的に集まり、結果として集団での練習になっていたとの報告を受けております。
このような事態を想定し、事前に適切な指導を行うべきであったことについては、大学としての認識が甘かったものと反省しております。今後このようなことがないよう、ラグビー部員に対して改めて指導を実施いたしました」
と反省しきりの様子だ。部員らにはスポーツマンシップはもちろん、社会のルールも学んで欲しい。