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三笘薫 ブライトンを30年以上取材する名物番記者が明かす「W杯」「妻」「塩対応の理由」

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記事投稿日:2025.08.02 06:00 最終更新日:2025.08.02 06:00
出典元: 週刊FLASH 2025年8月12日号
著者: 『FLASH』編集部
三笘薫 ブライトンを30年以上取材する名物番記者が明かす「W杯」「妻」「塩対応の理由」

地元ファンから愛されている三笘

 

「2023ー2024シーズンは終盤に怪我したこともあって、リーグ戦のゴール数は3と不完全燃焼だったかもしれないが、2024ー2025シーズンはゴール数を10まで伸ばした。シーズン終盤には強豪マンチェスターC、リバプールを相手にゴールも決めたし、あらためてチームに欠くことのできない選手だと証明したといえるだろう」

 

 ブライトン加入3年めの2024ー2025シーズン、イングランド・プレミアリーグで日本人選手史上初のシーズン二桁ゴールを達成したサッカー日本代表MF・三笘薫(みとまかおる・28)をそう評するのは、同クラブを30年以上取材してきた地元紙「ジ・アーガス」のブライアン・オーウェン記者だ。7月上旬に来日した際に、本誌の独占取材に応じてくれた。

 

 2月14日、対チェルシー戦で三笘は、味方GKのロングボールをDFと競り合いながら足下でピタリと止めると、鮮やかなシュートをゴールネットに突き刺した。そのゴールは、プレミアリーグの年間ベストゴール候補にノミネートされただけでなく、BBC(英国放送協会)のサッカー番組で年間ベストゴールに選出されるなど、現地でも高く評価された。

 

「ロングボールを巧みにトラップしたファーストタッチは完璧で、心を躍らせたよ。BBCのベストゴールは、かつての2大ストライカー、ギャリー・リネカーとアラン・シアラーが選考に大きく関わっていて、偉大なレジェンドに認められたスーパーゴールだったといえる。

 

 

 印象的なゴールはそれだけではない。開幕の対エバートン戦では、自陣の深い位置まで守備に戻ったところからのカウンターで一気に相手ゴール前まで駆け上がり、右からのクロスに中央で合わせて先制弾を決めた。攻守での貢献という点では、 “これぞ三笘薫” というゴールだった」

 

 三笘は2023年10月に、クラブとの契約を2027年6月まで延長した。その際、週給は2万ポンド(約380万円)から8万ポンド(約1600万円)へと大幅アップしたと伝えられた。ただ、ブライトンはビッグクラブとは言い難い。

 

 今年1月の移籍市場では、サウジアラビアのアル・ナスルがオファーを出し、移籍金は7500万ポンド(約148億円)に出来高を加えるまで引き上げられたともされた。今夏もドイツ王者のバイエルンや、チャンピオンズリーグ初優勝を遂げたフランスの名門PSGなどが興味を示しているとの報道がある。バイエルンについては、すでに三笘が拒否したと伝えられているが……。

 

「三笘は新シーズンに向けてチームに合流しているが、この世界はいつ、何が起きても不思議ではない。確かに、ブライトンは今季ヨーロッパカップ戦への出場権を逃した。三笘がチャンピオンズリーグへの出場を希望しているのは事実だと思う。一方、三笘は昨季終盤の活躍が光った裏で、先発を外れ途中出場することも目立った。どうやら、腰の状態に問題があったようだ。三笘は年齢的にけっして若くないし、大金を出して獲得したとしても、数年後に売却できるかどうかをシビアに判断されるかもしれない」

 

 現地で取材を続ける記者に、三笘の人柄がどう映っているのかも気になる。

 

「シャイというか、知性を感じさせる一方で、ミステリアスな部分もある。いいプレーをした試合では、契約上対応が義務づけられている公式インタビューには応えているが、それ以外では日本のメディアにしかほとんど話をしていない。三笘は英語を上手に話し、彼の語学力には驚かされるというのにね」

 

 今年6月には、2022年に結婚を発表したクリア夫人と挙式したことが、SNS上で話題になった。だが、そうしたピッチ外の様子が現地で報じられることはないという。

 

「奥さんは大学の同級生の元陸上選手だったよね? 毎年、ホーム最終戦には夫婦でピッチに姿を見せているが、彼のプライベートが話題になることはほとんどないよ」

 

 地元メディアへの対応は、 “神” とはいえないかもしれない。それでも、三笘が地元ファンから愛されているのは間違いないと太鼓判を押す。

 

「たとえば、チェルシーに移籍したジョアン・ペドロが抜けたことは戦力的には痛いんだけど、性格的に少し問題があったからか、放出もやむを得ないと考えられている向きがある。対して(ともに移籍の噂のある)三笘とオランダ代表のファン・ヘッケに関してはファンの支持も厚く、誰も移籍を願っていないような雰囲気がある。三笘はインパクトのあるプレーでファンの心を掴んだぶん、期待値も高くなっている。その結果として、ゴールやアシストがないと『物足りない』と、高い評価がときに厳しさに変わってしまうこともあるけどね」

 

 最後に、もし移籍するとしたら? との問いに、オーウェン記者はこう答えた。

 

「三笘は賢い選手だから、どのクラブに行ってもフィットするはず。それでも、現場の監督に求められているかどうかは重要だし、最も力を発揮している左ウイングでプレーできるチームがいいのでは。まあ、今季はシーズン後にW杯を控えているし、三笘としてもビッグクラブに移籍して出場機会を失うリスクは避けたいと考えているような気もするが……。長年ブライトンを取材してきた私としては、三笘が今後もここに残って、再びクラブをヨーロッパカップ戦に導いてほしいと思っているけどね」

 

取材&文・栗原正夫

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