
巨人・阿部監督
10月12日、『2025 JERA クライマックスシリーズ セ』ファーストステージの第2戦が横浜スタジアムでおこなわれた。シーズン2位の横浜DeNAが3位の巨人を破り2連勝となり、阪神が待ち受けるファイナルステージ進出を決めた。巨人は、シーズン3位で、CSでも事実上3番めの位置でシーズンを終えることとなった。
「一般的な監督の評価基準として『3位ならギリギリ合格。4位以下なら不合格』というものがあります。3位ならAクラス、4位ならBクラスとなるからです。その基準からいうと巨人の阿部慎之助監督は合格となりますが、そうはいかない可能性があるのです。それは過去の巨人の歴史が証明しています」(スポーツ紙デスク)
過去の歴史はあとに譲るとして、まずは阿部監督の契約問題に触れておこう。巨人から阿部新監督の就任が発表されたのは、2023年10月のことだった。当時の発表によると、契約期間は2024年シーズンから2026年シーズンまでの3年間だった。今年は3位という成績もあり、2026年シーズンに指揮を執ることは既定路線だった。
しかし、巨人の場合は「順位が3位であっても、監督が代わることが過去にありました」という。有名なジンクスがあるのだ。
「それは1980年の故・長嶋茂雄氏、2004年の原辰徳氏ですね。両者ともシーズン3位に導いたということもあり、『続投は決定』とする報道も多くありました。ところが、最終的には両者とも辞任という形をとらされた。
じつは、長嶋氏は巨人から『3位確保なら続投』の “約束” を取りつけていたのですが、常勝を義務づけられている巨人だけに厳しい判断となりました。長嶋氏は選手としても監督としても人気が抜群でしたので、ファンの怒りはすさまじかった。結果、親会社である読売新聞の不買運動に発展していきました」(同)
原氏の場合も同様に十分な成績を収めていたなかでの解任だった。
「監督就任1年めの2002年に日本一、翌年は3位と、初の指揮での2年間としては十分な成績でしたから。しかし、2003年、原氏と三山秀昭球団代表との確執が表面化。三山代表は采配に口出しするばかりか、来季のコーチ人事を原監督に相談なく勝手に決めてしまったのです。
来季の続投が決まっていた原氏ですが、怒りが収まらず辞表を提出。驚いた三山代表らは慰留に努めましたが、聞く耳を持ちませんでした。事を収めたい渡邊恒雄オーナー(当時)は『読売グループ内の “人事異動”』としましたが、これにはファンも『言い方があまりにもひどい』とかえって火に油を注ぐ結果となりました。
このように3位という成績は、他球団の監督にとってはボーダーラインに映るかもしれませんが、巨人の監督にとっては、むしろ “不吉な順位” でもあるのです」(同)
ただし、過去の長嶋氏、原氏と現在の阿部監督の場合とでは、少々「置かれている立場が違います」と巨人担当記者は語る。
「巨人の山口寿一オーナーは、9月17日に都内で開かれた12球団オーナー会議のあとに、『阿部監督続投』を明言しました。これで来季の方向性が決まったと見られていたんですが、意外なことにファンが反発しているんです。阿部監督の作戦や選手起用がおかしいと。
実際、9月21日に名古屋・バンテリンドームでおこなわれた中日戦後、阿部監督や選手らはレフトスタンドにあいさつに行った際、大ブーイングとともに阿部監督に『やめろ!』コールが起こりました。
ようするに長嶋氏、原氏のときと違って現在の阿部巨人には人気がない。こうした声を巨人の幹部たちもしっかりと見ていますから、阿部監督がやめるとなっても、反発の声が多くあがらないことはわかるわけです。
ファンが阿部監督を推さない理由には、松井秀喜氏の『生前、長嶋監督を約束したことがある』との発言も影響しています。ファンとしては、どうしても “松井巨人” の誕生を期待してしまうわけです。一度、阿部監督の続投は明言されましたが、それが変わる可能性は十分あると思います。それは過去の事実が物語っています」
阿部監督は横浜DeNAの敗戦後「みんな必死でやったし、(悔しさは)来年にぶつけてほしい」と語っているが、続投はあるのだろうか──。