
ジェイク・バウアーズの2塁打に佐々木朗希もがっくり(日本時間14日、写真:Imagn/ロイター/アフロ)
10月13日(日本時間14日)、ナ・リーグのリーグ優勝決定シリーズ(LCS)が始まり、西地区王者のドジャースが中地区王者のブルワーズを接戦の末、2-1で破って先勝した(4戦先勝でワールドシリーズ進出が決まる)。
戦前から大きな注目を集めていた両王者の戦いは、「好対照の戦い」とも言われてきた。
まずは指揮官。今季レギュラーシーズンを30球団最高の97勝65敗、勝率.599の好成績に導いたのは、パット・マーフィー監督。ボーリング・グリーン州立大学などで野球やアメリカンフットボールをプレーしたあとにプロボクサーを目指した変わり種だ。
1982年、ジャイアンツからドラフト指名を受けて投手として入団。すぐにパドレスに移籍したものの、メジャー経験はない。指導者としてのデビューはメアリービル大学だった。
ここでは野球とアメリカンフットボールの両方を指導した。その後、各大学を転々とし、実績を買われて2010年2月にパドレスのスペシャルアシスタントに就任した。
マイナーのコーチ、監督を経てブルワーズの監督に就任したのは2024年のこと。1年めから93勝69敗で中地区優勝を果たし、いきなりナ・リーグ最優秀監督賞に選ばれた。
一方、沖縄県那覇市生まれで知られるデーブ・ロバーツ監督は、名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)出身で、俊足好打の選手として活躍した。
1994年にドラフトでタイガース入り。その後、5球団を渡り歩き、積み上げた安打数は721本、盗塁数は243個だった。
引退後はパドレスのコーチなどを経て、2016年よりド軍の監督を務め、現在10年め。ワールドシリーズを2度制し、ナ・リーグの最優秀監督賞も一度獲得している。
選手としても監督としても、その経歴はロバーツ監督が上回っており、現地では「エリートvs.非エリート」の戦いとも見られているという。
選手を見ても、その図式は成り立ちそうだ。ド軍の打線にはムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、大谷翔平、そして投手でもクレイトン・カーショーとシーズンMVPを獲得した選手が4人いるが、ブルワーズではクリスチャン・イエリッチただ1人。
となれば、今季の選手総年俸にも大きな開きが出るのは当然のこと。ド軍の年俸総額は30球団トップの3億5000万ドル(約534億円)。対して、ブルワーズは下から数えたほうが早い22位の1億2200万ドル(約186億円)。実に3倍近い差があるのだ。
さらに、年俸総額が毎年設定される基準額を超過した場合に課される税金、いわゆるド軍の「ぜいたく税」は1億5400万ドル(約235億円)とされており、ブルワーズの総年俸を大きく上回っている。
「ブルワーズは総年俸も少なく、飛び抜けたスーパースターと認知されている選手もいません。でも、今季の戦績は30球団トップで、投打ともに噛み合った野球も『30球団トップ』の評価なんです。シーズン中、ド軍は0勝6敗とブ軍にまったく歯が立ちませんでした。ブ軍に苦手意識はまったくないし、のびのび野球でド軍に挑むでしょう」(現地記者)
若く勢いのあるブ軍。短期決戦を知り尽くすド軍。あまりにも好対照な両チームの戦い。だからMLBはおもしろい。