
米大リーグ挑戦について会見する巨人・岡本和真
「この度ポスティングシステムを利用して、MLBに挑戦させていただくことになりました。この決断を尊重して背中を押してくださった山口オーナー、阿部監督、チームメイト、球団関係者、そして、ファンのいつも温かく応援してくださるファンの方に感謝してます。ありがとうございます」
ポスティングによるMLB移籍か、あるいは巨人残留か。二転三転した岡本和真内野手の去就が決着を見た。
10月22日、巨人は都内で会見を開き、岡本が今オフにポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を容認したと発表した。会見には吉村禎章編成本部長と岡本が出席した。
「岡本のメジャー志向はかなり前からでした。ただ、性格的にも積極的に公言したりするタイプではなかったんですが、2023年のWBCに参加してから変わったように思います。大谷翔平やダルビッシュ有と生活を共にし、そして世界と戦ったことで考えが変わった。昨年の契約更改後の会見では『昔から憧れていた場所。野球をしていたら、そういう目標はみんな持っているし、僕もその1人』とハッキリと言うようになったんです。
ただ、彼の海外FA権取得は2026年のシーズン中。そうなると現在29歳であることから、プレーできるのは31歳のシーズン。以前から『脂が乗り切ったときに行きたい』とも言っていただけに、今オフが最後のチャンスと思っていたのでしょう。また、元選手の吉村さんが編成本部長に就いていたことも大きかったと思います。選手の気持ちの観点から、岡本の背中を押してくれたのでしょう」(巨人担当記者)
スポーツ紙デスクは「巨人も変わりました」と感慨深い感想を漏らす。
「巨人は移籍に関しては厳しい姿勢を貫いてきた球団だったからです。2002年オフ、松井秀喜さんはFA権を取得してヤンキースに移籍するわけですが、その発表会見は、まるで不祥事を詫びるような暗いものでした。FA権は、厳しい世界で長く活躍してきたからこそ取得できる権利であり、堂々と胸を張って宣言すればいいんですが……。巨人関係者も『球界の財産である松井選手をアメリカに流出させてしまって……なんとお詫びしていいか』とネガティブなコメントに終始したわけです。
それが岡本の場合は吉村禎章編成本部長が『送り出してあげたかった』と語ったように、応援のコメントを発したわけです。やはり、松井さんのときに『巨人は長年活躍した選手に対し冷たい』とさんざん叩かれただけに、その二の舞は避けたかったのでしょう。それとポスティングで移籍すれば、多額な譲渡金が巨人に入ることも大きかったと思いますね」(スポーツ紙デスク)
過去に巨人がポスティング移籍を容認したのは、2019年オフの山口俊と、結果的には残留したが2020年オフの菅野智之の2度だけだっただけに、スポーツ紙デスクが驚くのも無理はない。
これまでの信念を曲げて岡本のポスティング移籍を認めた巨人。どちらにしろ打線の大黒柱を失うことだけは確か。補強面での巻き返しが注目される。