
MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナー(写真・アフロ)
驚きの意思表示だった──。
10月25日(日本時間26日)、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは、ワールドシリーズ(WS)第2戦が行われるカナダ・トロントのロジャースセンターに姿を現した。そこで駆け付けた米メディアに対し、「2028年に行われるロス五輪へのメジャーリーガーの出場については、前向きに考えています」と発言し、大きな話題となっている。
マンフレッド・コミッショナーは、10月27日(同28日)のWS第3戦前にESPNのラジオ番組に出演。MLBオールスターの中断期間を延長する模様で、シーズンの中断期間が始まり、オールスター戦を開催した後に、そのままロス五輪へ移行していくのだという。「(五輪での中断が)約11日間になる見込みだ」と具体的な日程にまで言及していた。
現地では、どのように受け止られているのか。
「この発言は、驚きをもって迎え入れられていますね。というのも、MLBは五輪を“世紀の祭典”と認めつつも、以前からメジャーリーガーを派遣することには消極的でした。野球で世界一を決める大会はWBCという認識でこれまでもやってきましたから。五輪にもメジャーリーガーを出してしまうと、WBCの価値を相対的に低下させることになってしまう恐れがあると考えていたのです」(現地記者)
ではなぜ、MLBコミッショナーは考えを変えたのか。
「そこには、MLBの置かれている立場が関係していると思います。アメリカではアメリカンフットボール(NFL)、バスケットボール(NBA)、野球(MLB)、そしてアイスホッケー(NHL)が4大スポーツと呼ばれ、絶大な人気を誇っています。ただ、NFLとNBAの人気が飛び抜けていて、MLBは3位という認識であり、人気面のみならず、テレビ視聴率や経済規模でも大きく差をつけられています。その理由として『MLBはスピード感に欠け、試合時間も長い』とされています。そのためピッチクロックの導入など、改善策を取り入れていますが、その差はまだ縮まっているとは言い難いのです。
MLBとしては、何とかその差を縮めたい。だからこその五輪にメジャーリーガーを派遣して優勝を飾りたい。競技国が少ないNFLは別としてNBAもNHLトップ中のトッププロが参加して金メダルを獲得している。MLBも金メダルはありますが、3A(マイナーリーグ)の選手やアマチュアが参加して獲得したもの。MLBとしても同じ土壌に上がりたいのでしょう」(現地記者)
さらに、現在では噂に過ぎないが、「もう一つ理由がある」と続ける。
「じつは、こちらでは2027年に労使交渉によるストライキが発生する可能性があると噂されているんです。現行の労使協定は2026年に終了するため、そんな噂が流れているのでしょう。そうなれば“ファン離れ”が進むことは必至です。人気低迷の歯止めとともに、もしストライキが実施されれば、人気回復の目玉としてメジャーリーガーの五輪派遣が役に立つと見られているのです」(同前)
では日本球界はどうするのか。
「東京五輪に選手を派遣した日本のプロ野球界は、26日間にわたってシーズンを中断しました。そのため、例年よりも日本シリーズの開催が1カ月遅れるなど、スケジュール的にもハードさを強いられました。しかも日本で行われた五輪だったにもかかわらずです。プロ派遣は、できることなら避けたいところでしょうが、これまでも米野球に従ってきた部分はあるので、今回もプロをロス五輪に派遣することになるでしょう」(スポーツ紙デスク)
一説には大谷翔平も「五輪に出たい」といった報道があるが果たして……。
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