
桑田真澄
巨人若手ナインから胴上げされること3度。ふだん、喜怒哀楽をあまり表さない桑田真澄二軍監督も、このときばかりは満面の笑みを浮かべ「内容の濃い3度の胴上げをしてもらいました。うれしかったです」と語った。
もちろん、この時点では後の“解任劇”を知る由もなかったのだが……。
今季の巨人二軍はイースタン・リーグで圧倒的な力を見せつけた。80勝44敗2分けで2位・西武に8ゲーム差をつけ、2年ぶり29度めの優勝を果たしたのだった(日本一決定戦ではウエスタン・リーグ覇者の中日に敗戦)。桑田監督は采配だけでなく、二軍の最大のテーマである「育成」にも尽力した。
「桑田氏は指導者として、2021年に巨人一軍投手コーチ補佐として現場復帰。翌年には一軍投手チーフコーチ、さらにファーム総監督を経て、2024年からは二軍監督を務めていました。
二軍の現場も2年めなので、育成の部分でもだいぶ慣れたようでした。勝つだけではなく、泉口(いずぐち)友汰内野手、中山礼都(らいと)内野手、森田駿哉投手らを一軍に送り込むことに成功しています。とくに泉口は、一軍でチームトップとなる133試合に出場し打率.301、6本塁打、39打点、4盗塁の成績を残し、打率は2位の好成績でした。巨人では久しい3割打者の誕生で、2019年の坂本勇人以来、6年ぶりのことでした。チームを勝たせたうえに、今後の巨人を担う選手を複数、輩出できたことで、桑田氏としても手ごたえを感じていたのです」(巨人担当記者)
10月28日、今季限りで桑田監督が退団すると発表された。これだけ実績を残しながら、なぜ巨人を去らなければいけなかったのか。
「二軍監督の桑田氏と一軍球団首脳との間で『育成』に関する考え方の違いがあったようです。桑田氏としては、育成には時間がかかり、一軍にひとり送り込むだけでもたいへんな労力がいると。一方で、一軍首脳はもっとスピーディかつ多くの選手を上げてほしいとの要望を出したようなんです。そこの食い違いが最後までまとまらず、桑田氏はチームを去る決断をしたそうです」(同前)
巨人が最後に日本一となったのは2012年と、すでに10年以上が経過している。しかも、阿部慎之助監督の任期は2026年まで。阿部監督には時間がない。
「もともと指導法などで、阿部監督と桑田二軍監督には考え方に大きな違いがありました。わかりやすく言うと、スパルタ式と理論派です。なので、当初から『うまくかみ合わないだろう』といわれていたほどです。今回、桑田二軍監督が追われる形で巨人を去ったことで、今後の補強は、かつてのように育成よりもトレードやFA移籍が中心となり、各チームの主力に手を出すことが予想されています。巨人がかつて揶揄されていた“ほしいほしい病”ですよ。
また、桑田二軍監督に加え、二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチ、駒田徳広三軍監督まで退団となりましたが、彼らに共通していたのは、阿部監督にも意見が言えたということ。巨人は来季のスタッフを発表しましたが、そこにはそういった役割のスタッフがいません。阿部監督のまわりは『イエスマンしかいない』といわれています。しかも、二岡氏の後任のヘッドは置かないことも決定し、ますます阿部監督の権限が強くなっていくでしょう」(スポーツ紙デスク)
来季の巨人に早くも暗雲か──。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







