
ニューヨーク・メッツのオーナーであるスティーブ・コーエン氏(写真・アフロ)
プロ野球選手によるオンラインカジノの利用が発覚したのは、2025年春季キャンプの最中だった。事を重く見た日本プロフェッショナル野球組織が最初に制裁金を科したのは、開幕前のこと。その制裁金は1020万円にのぼり、8球団計16人が対象となった。賭博とスポーツ界の結びつきの問題は日本に限ったことではなく、海を渡ったMLBでも“頭痛の種”となっている──。
クリーブランド・ガーディアンズの2投手がスポーツ賭博により起訴されたのは、現地時間11月9日(日本時間10日)のことだった。しかも、そのうちの1人が27歳の若さにしてオールスターに3度選出され、2022年から3年連続でセーブ王に輝いたエマニュエル・クラセ投手だったことはファンに衝撃を与えた。
「これほどの大物投手が不正賭博をやっていたことは大きな衝撃でしたが、それ以上に注目されたのが、見返りの金額でした。なんと数千ドルだったんです。今季の年俸は約6億7500万円で、来季は約9億円に上がる予定の彼にとって、見返りは“はした金”でした。あらためて、賭博の常習性の恐ろしさを証明する結果となりました」(スポーツ紙記者)
MLBとしては当然、賭博による“負のイメージ”を払拭することに尽力し、クリーンであり続けようとした。今季を締めくくるワールドシリーズ(WS)が史上稀に見る激戦を繰り返したこともあり、そのイメージは徐々に過去のものになりつつあった。
ところが、12月に入った途端に急展開を迎える。
「純資産が230億ドル(約3兆5833億円)といわれる世界的な大富豪にして、ニューヨーク・メッツのオーナーであるスティーブ・コーエン氏率いる投資グループが、カジノのライセンスを取得したんです。アメリカでカジノは合法であるため、それ自体は問題ないのですが、問題は建設予定地です。コーエン氏は、建設場所にメッツの本拠地であるシティ・フィールドに隣接する駐車場を選んだのです。『メトロポリタン・パーク』と名付けた複合施設にホテルやショッピングセンター、イベント会場だけでなく、カジノを組み込むといい、その建設費用は1兆2000億円を超えるといいます。ようやくスポーツ賭博による騒動が収まったと思われていただけに、再燃を危惧する声が上がっています」(現地記者)
その一方で、一部ファンからは肯定的な意見も出ているという。
「ニューヨークは世界有数の大都市であり、観光地でもありますが、意外なことに本格的なカジノはなかった。カジノができれば、アメリカ国民だけでなく、多くの観光客が訪れることは間違いありません。つまり、カジノによりコーエン氏に莫大な利益がもたらされる。そうなると、昨季フアン・ソトと結んだMLB史上最高額の15年7億6500万ドル(約1150億円)以上の契約が実現するかもしれません。“金持ち球団”としてメッツは有名なので、ドジャースを超える“MLB版ドリームチーム”が結成される可能性は十分あります」(同前)
カジノの完成は、2030年に予定されている。ファンが一度は夢見るドリームチームの実現なるか。ただ、賭博スキャンダルの再来だけは見たくない。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







