
2002年、全日空オープンでツアー最年長優勝を果たした尾崎将司さん(写真・共同通信)
日本ゴルフ界で一時代を築いた “ジャンボ” こと尾崎将司さんが、2025年12月23日、S状結腸がんのため死去した。78歳だった。
12度の賞金王、ツアー通算94勝と、前人未到の記録を打ち立てた尾崎さん。しかし、その競技人生は順風満帆ではなかった。50年以上の付き合いがあった、タレントのなべおさみ(86)が振り返る。
「1971年のプロアマに出たとき、仲がよかった片山康プロから『イキのいい若手を紹介したい』と言われたのが出会いでした。会うたびにお互いが胸襟を開く間柄になっていきました。それで、ジャンボが唯一、尊敬していると言った元西鉄の池ちゃんこと池永正明さんと3人で “義兄弟の契り” を結んだんです。
年齢がいちばん上の僕が長男、次が池ちゃん、そして三男がジャンボでした。義兄弟とはね、いいときは見守るだけで、よくないときは、かたわらに寄って支え合う、そんな仲ってことかなぁ」(以下「」内の発言はなべ)
1991年、なべが「明大替え玉受験事件」を起こしたときが、まさにそうだったと述懐する。
「自宅には、連日のように多くのマスコミが詰めかけていました。すると、池ちゃんから電話がかかってきて『なべさんがマスコミに取り囲まれている姿をテレビで見るのは忍びない』と。さらに『博多に逃げてこんですか。ワシどないしても、かばいきりますけん』と言ってくれましたよ」
尾崎さんの励まし方は、池永さんとは違った。
「ジャンボは電話で『元気ですか?』なんて言ってくるタイプじゃありません。でもね、僕には言わないんだけど、周りに『なべおさみがこんなことで負けるわけないだろ!』と。そういう励まし方をする男なんです。
復帰までには長い時間が必要でしたが、徐々にイベントやディナーショーが決まっていくと、ジャンボの次男の建夫さんや三男の直道さんをつれて何度も来てくれましたよ」
プロ入り後、すぐに頭角を現した尾崎さんだったが、その後、長いスランプも経験した。
「成績が一気に “墜落” していったのは驚きでした。これはシーズンオフにレコーディングするなど、音楽に親しみすぎた結果だと思っています。それでも1年8カ月の予選落ちの屈辱をはねのけたのは、改めてイチからドライバーショットを学び抜いたから。
私は習志野のお宅に年中泊まりに行っていました。地方の試合に同行して同じ部屋で寝泊まりしたこともあります。そのとき、ベッドのマットを壁に立てかけ、フロアに敷いたバスタオルの上のボールを打つのです。夜が明けるまでショートアプローチの練習でした。こんな思い出は山ほどあります」
プロ入り後、1970年代初めから終盤に差しかかるころまで面白いように勝てた尾崎さんだったが、なべが語るように、1980年代に入るとまったく勝てなくなった。代わって賞金王の常連となったのが青木功プロだった。
「ジャンボが勝てなくなっても、最初のころは『がんばれよ』と人が集まっていたんですが、それが長く続くと、一人また一人と来なくなった。それでもシーズン終了後に打ち上げはやりました。だけど、未勝利だから士気が上がるはずもなかったんです。
そんなとき、青木プロが訪ねてきたんです。集まっていた “ジャンボ・アーミー(尾崎さんの仲間)” は『賞金王を自慢しに来たのか』と怒っちゃってね。でも、ジャンボはすごかったね。『黙れ! 青木さんはそんな人間じゃない。お前らは関係ないだろう』と迎え入れましたから。
じつは、青木プロはジャンボの衣装部屋が見たいと奥さんと来たんです。ジャンボは試合用のウェア部屋を作っていて、初日はこれ、2日めはこれと、全日程ぶんのコーディネートを部屋に並べていました。それを知った青木プロが自分も作りたいと見に来たんです。ひととおり見終えると、青木プロは『がんばれよ』とジャンボに声をかけ、帰っていきました。青木プロも漢ですよね」
最後に、尾崎さんの葬儀に出ていないというなべが熱い想いを明かした。
「私は彼とサヨナラはしません。生涯池永さんとジャンボと三兄弟で生きてまいります。いまはそんな気持ちです。それぞれの人の心のなかに、思い出として大切な何かを残してくれているはずです。
あえて言いますが、ジャンボの本当の魅力は、同じ時代を生きて、その目で彼を見た人にしかわからないのです。ですから、一つ一つは断片的な思い出でも、その人の心に残るメモリーはその人の宝です。私もその一人。私は私の宝を大事にして、尾崎将司を永遠に輝く星として保持して参ります。ありがとうジャンボ! またね!」
競技人生の陰には、常に熱い “友” がいたのだ。
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