入団記者会見に臨む村上宗隆(左)と岡本和真(写真・共同通信)
日本球界が誇る2人のスラッガーに対するメジャーの評価は大きく分かれた。トロント・ブルージェイズは岡本和真(29)と4年総額6000万ドル(約94億円)、シカゴ・ホワイトソックスは村上宗隆(25)と2年総額3400万ドル(約53億7000万円)の契約を結んだ。
契約年数で差がついた2人を取り巻く環境は、さらに異なる。昨シーズン、ブルージェイズはワールドシリーズに進出。一方、ホワイトソックスは2024年度にメジャー最多の121敗を喫している。野球の統計的なデータ分析「セイバーメトリクス」をおこなうDELTAの宮下博志氏に話を聞いた。まずは岡本から。
「岡本選手は、パワーとコンタクトの総合力が最大の強みです。大谷翔平選手や鈴木誠也選手よりも三振率が低く、長打力と速球への対応力を兼ね備えています(表1)。MLBの投手が相手でも、通用すると思います」(宮下氏、以下「 」同)
岡本は巨人時代に本塁打王を3回、打点王を2回獲得している。
「昨年はとくに、ゾーン中心付近での空振り率が急激に低下し、長打の水準は維持しています。パワーを落とさず、正確にコンタクトできる次元に到達しました。150キロ台の速球を空振りせずに長打にでき、変化球の三振も少ない。弱点が非常に少ない打者に成長しました」
ブルージェイズとの契約は年齢・選手層ともに、岡本にとって妥当性があるという。
「ブルージェイズの本拠地は右打者にとって本塁打が出やすい球場で、打撃スタイルを大きく変えずに適応できる可能性があります。加えて人工芝球場のため、三塁守備でも日本時代のパフォーマンスを発揮しやすい点もプラスです」
一方の村上は、三冠王を獲った2022年、NPB日本人史上最多本塁打数を記録した。
「同年の打撃指標は、全盛期の王貞治さんに匹敵する水準でした。長打力に限れば松井秀喜さんよりも上で、大谷選手と同等のポテンシャルを秘めています」
だが、データに目を向けると、課題が浮き彫りになる。
「三振率は、140キロ台の直球に対しては30%に留まるものの、150キロ台になると41.7%へと急増し、内野フライなどの打ち損じが激増します。メジャーリーグの平均球速152キロにアジャストできるかどうか、ですね」
守備でも2人には差がある。
「村上選手の過去3年間のUZR(※1)は、一塁の場合-0.3、三塁だと-12.7とかなり低い。失点を防ぐ守備力は、NPBの平均を大きく下回っています。岡本選手の場合、一塁が1.9、三塁は3.7と、どちらもプラスを示しています。攻守ともに、メジャーでは岡本選手のほうが村上選手よりも高評価になっています」
と、総じて岡本よりも低評価となった村上。だが、セイバーメトリクスを用いたデータサイト「ファングラフス」(1月5日時点)は、2人の2026年シーズンでの成績をこのように予測している。
「岡本選手は三塁手で130試合に出場し、打率は.251、出塁率.323、本塁打数は22本と算出されています。村上選手は一塁手で138試合に出場し、打率.231、出塁率.333、本塁打数は30本。WAR(※2)は岡本選手が2.5、村上選手は1.9と、メジャー1年めとしては2人とも合格ラインです。大谷選手の同数値こそ、ここ3年ほど9~10と圧倒的なものの、鈴木選手のMLB1年めに近い好成績が予測されています」
低評価をはね返す村上の一打と、期待に応える岡本のひと振りが、新天地で存在感を放つ。
※1 UZR…同じ守備位置の平均的野手と比べ、例えば1.9は平均より1.9点ぶんの失点を防ぎ、-12.7は12.7点ぶんの失点を余分に許したことを表わす
※2 WAR…打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価し、勝利への貢献度を表わす重要な指標。基準値は1で、高いほど優れている
写真・産経新聞、共同通信
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