
入門は熱海富士が先だが、学年は義ノ富士がひとつ上(写真・高橋マナミ)
3月8日に初日を迎えた大相撲三月場所(エディオンアリーナ大阪)。注目は3場所連続優勝と、綱獲りに挑む大関・安青錦(21)。そして、こちらも勢いが止まらない“伊勢ヶ濱勢”だ。
先場所12勝を挙げ、優勝決定戦で安青錦に敗れたものの、初の三役を掴み取った新小結・熱海富士(23)。そして、初土俵から負け越しなし、先場所も殊勲賞の前頭筆頭・義ノ富士(24)。ともに伊勢ヶ濱部屋所属で、先場所は両横綱から金星を獲得している。幕内力士5人を擁し、角界で最大勢力となっている同部屋を牽引する2人が、本音で語り合った。
■妹が車を欲しいと言ってるので……
――2人とも先場所は大活躍でした。熱海富士関は、新三役は間違いなさそうですね(取材は番付発表前)。
熱海富士(以下、熱) そうだといいですけど。それにしても、15日間が長かったです。優勝争いをしてたこともあって、いつもより長く感じましたね。
義ノ富士(以下、義) 熱海関は(三役)いけそうですけど、自分は微妙ですね。8勝止まりですから…(番付は西前頭筆頭に据え置き)。でも、初めて上位総当たりの番付になって、8番勝てたのはよかったと思います。
熱 三役はずっと目標だったので、ようやくという感じです。もちろん、これで満足というわけじゃないですけど。
――先場所は2人ともに、両横綱から金星。熱海富士関は、初金星というのが意外でした。
熱 そもそも、横綱との取組がなかったですからね。ずっと、(同部屋の)照ノ富士関(現・伊勢ヶ濱親方)が一人横綱だったんで。
義 金星は何個あっても嬉しいです。九州場所でも金星があったんですけど(大の里戦)、先場所は横綱戦が2番とも結びだったんで、よけいに燃えましたね。しかも、前の取組で熱戦が続いていて、自分もいい相撲を取りたいと思って向かっていきました。
――懸賞金の束がすごかったんですが、使い道は?
熱 妹が車を欲しいと言ってるんで、それに使う予定です。
義 カッコいいですね。自分は、特にこれってのがないんですよ。サウナに行ったくらい。あと、場所前から床山さんと「金星を取ったら行こう」と約束してたんで、焼き肉に行ったくらいですかね。
――今は同じ部屋の兄弟弟子ですが、初めて会ったのは?
義 高校生のときに対戦してるんですよ。インターハイの団体戦で(2019年)。
熱 入門は自分が先で兄弟子なんですけど、学年は義ノ富士関がひとつ上。もう、高校のときからスターでしたよ。
義 いやいや(笑)。
熱 だって中学生横綱で、タイトルも獲ってて、自分はもうただの一般高校生で……。
義 でも、あのインターハイの一番ははっきり憶えてますね。お互いなかなか手をつかなくて。
熱 お互い「後づき」だから、2回ぐらい審判に注意されて。まあ、僕が速攻で負けたんですけど(笑)。それにしても、中学から高校、大学でずっと有名だった人と、タイトルも何もなかった自分が、こうして同じ部屋で一緒に頑張れているのが嬉しいですよ。(同部屋の)伯乃富士関もそうです。自分のひとつ下の学年ですけど、彼も高校時代から注目されている選手でしたからね。
義 まさか、同じ部屋になるとは。
――関取が多い伊勢ヶ濱部屋ですが(幕内5人、十両2人)、なんでこんなに強い?
熱 宮城野部屋と一緒になって、力士が増えましたから。
義 自分は、もともと宮城野部屋に入門予定だったんですが、ちょうど入門のタイミングで伊勢ヶ濱部屋預かりということになったんですよ。
熱 前からうちは関取が多い部屋なんですが、それがさらに増えた感じですね。
義 力士が多いだけじゃなくて、いろんなタイプが揃ってるじゃないですか。熱海関みたいな体の大きい力士から、翠富士関みたいな小柄の力士、業師もいる。突き押しの強いのがいれば、左四つ、右四つもいる。
熱 稽古場は本当に充実してますよ。
義 それに、下(の番付)からあっという間に関取まで上がってきそうな力士も部屋にいますから。僕らもうかうかしてらんないんです。
――最近、話題の旭富士(序二段)ですか?
熱 彼は学年が同じで、同期の入門なんですよ。モンゴル出身で、協会の規定でなかなかデビューできなかったんですけど、去年の九州場所でやっと初土俵で。僕も本当に嬉しいんです。もちろん負けたくない気持ちもあります。
義 あとは、関取同士で情報交換ができることも大きいですよね。同じ相手とやることも多いですから、「こうやって投げにきましたよ」とか「あれは気をつけたほうがいい」とか話しますからね。
■「自分、全然いけますよ」ってペロリ
――2人はお互いのこと、どう思ってるんですか?
熱 トレーニングもきっちりやって、スピードとパワーもある。性格的には、どんどん自分から声をかけに行くんですよね。人見知りの自分からすると、すごいなと思って。弟弟子だけどリスペクトしてますよ(笑)。
義 熱海関は相撲も強いですけど、ご飯もすごい。めちゃくちゃ食べますもんね。
熱 だからこんな体に(笑)。
義 この前も、一緒に食事に行ったんですけど、炎鵬関にとんでもない量が出てきちゃって。どうしようって言ってたら、熱海関が「自分、全然いけますよ」ってペロリですから(笑)。それに、真面目で稽古も全然休まないし。そもそもこの体重(197キロ)で、あんなに動けること自体がすごいんですよ。自分は160キロですけど、あと30キロ増えたらどうなんだって。膝とか大丈夫じゃないと思いますよ。
熱 まあ、さすがに増えすぎかなとは思ってるけどね……。
――最後に、春場所に向けて。
義 大阪は1年前、新十両で優勝したゲンのいい場所。さらに上を目指して頑張ります。
熱 ずっと指導していただいていることが、ようやく多少はできるようになって先場所の好成績に繋がったと思うんです。先場所で掴んだ感覚を大事にして、大阪でも皆さんを元気にできるような相撲を取ります!
熱海富士朔太郎(あたみふじさくたろう)
2002年9月3日生まれ 静岡県出身 2020年十一月場所で初土俵。2022年十一月場所で新入幕。2026年三月場所で小結昇進。静岡県出身の三役昇進は96年ぶり。187センチ、197キロ
義ノ富士直哉(よしのふじなおや)
2001年6月25日生まれ 熊本県出身 学生横綱など多くのタイトルを獲得し、2024年に伊勢ヶ濱部屋に入門。2025年三月場所、新十両で初日から12連勝の記録を樹立。同年十一月場所に、四股名を「草野」から改名。185センチ160キロ
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