
『エンハンスト・ゲームズ』で世界新記録を出したクリスチャン・ゴロメエフ(写真・アフロ)
世界中で「アンチドーピング」が叫ばれるなか、ドーピングを容認する異例のスポーツ大会『エンハンスト・ゲームズ』が5月23日(日本時間24日)、米ネバダ州ラスベガスで開催された。この大会には、陸上の世界選手権王者や競泳の世界記録保持者など42選手が参加する予定となっている。
今大会は、トランプ米政権に近い投資家が支援したことでも注目されているが、禁止薬物の使用など、選手の健康面では多くの懸念材料が指摘されている。当然、国際オリンピック委員会(IOC)や世界反ドーピング機関(WADA)などからは「スポーツ精神を損ない、間違ったメッセージを発信する」と非難している。
ドーピングはときに副作用を起こし、選手の肉体を蝕むことが往々にしてある。それでもなぜ、選手は参加するのか。
「やはり一にも二にも高額な賞金ですね。優勝すれば25万ドル(約3970万円)の優勝賞金があり、そのうえ、世界新記録を出せば100万ドル(約1億5900万円)の“ボーナス賞金”が出るからです。もし、世界新で優勝すれば、一気に125万ドル(1億9800万円)が手にできるわけです。ここまで高額な賞金を出す世界大会は、なかなかありません」(スポーツライター)
さっそく“ニンジン効果”が出た。競泳の男子50メートル自由形でクリスチャン・ゴロメエフ(ギリシャ)が20秒81をマークし、優勝。世界記録である20秒88を上回ったことで、“ボーナス”獲得となった。当然、世界水泳連盟の世界新記録には認定されないが、「ドーピング恐るべし」という認識を世界に知らしめる結果となった。
参加する選手らは、ベテランの選手が多いという。
「選手としては“下り坂”な人が多いです。なかには、この大会のためにカムバックした選手もいます。今大会に出場して、『最後に一儲けしよう』と考えているのでしょう。
また、肉体にも大きな特徴があります。従来の大会に出ていたころと比べると、皆、身体がかなり大きくなっているのです。競泳100メートル自由形の元世界王者で、五輪でも銀メダルを獲得したジェームズ・マグヌッセンもその一人です。カムバック組とはいえ、そのバキバキの肉体は、とても水泳選手とは思えない。体中の血管が浮き上がっていて、ボディビルダーのようでした。
ドーピングは、一時的なパフォーマンスの向上を見込めるかもしれませんが、長期的な身体への影響に関しては、まだまだ不明なことも多いです。時には、命を落とす危険性もあります」(同前)
くしくも、5月15日から都内では映画『スマッシング・マシーン』が上映されている。同作は1990年代後半、総合格闘技で圧倒的な強さを誇ったマーク・ケアーの栄光と挫折を描いたものだ。その強さは“霊長類最強”と讃えられたが、強さを維持するために彼が選んだのはドーピングだった。結局、ケアーはステロイドとオピオイドの依存症となり、栄光は長く続かなかった。すべてはドーピングが圧倒的強さを奪い取ってしまったからだ。
その教訓は、いまも活かされていないのかもしれない。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







