
5月31日のアイスランド戦で選手らに指示を出す、森保一監督(写真・桑原靖)
北中米ワールドカップに向けての国内最後の試合「キリンチャレンジカップ」日本対アイスランドが5月31日、東京・国立競技場でおこなわれ、1-0で日本が勝利した。
国立競技場に集まった6万人以上もの観客を前に、日本代表は国際Aマッチ5試合連続無失点の6連勝を記録。最高の形で北中米へ向かえると思ったが、どうやら専門家はそうは見ていないようだ。
「アイスランド戦は、長年日本代表をキャプテンとして引っ張ってきた吉田麻也(LAギャラクシー)の代表引退のセレモニーも兼ねた試合でもあったので、集まった大観衆は満足した部分もあったでしょう。
ただ、試合にセレモニー的要素が影響したのか、どこか締まりのないものになってしまったことも事実です。ミスをしても笑顔が先で、お互いが強く要求する場面もあまり見られなかった。
立ち上がりから一見するとパスがつながって日本のペースのように見えましたが、攻守が切り替わった際の寄せなど、どこかゆったりとした試合に終始してしまいました」(サッカーライター)
FIFA世界ランキングでは、現在日本が18位に対してアイスランドは75位。「57位分」もの差がある格下に辛くも勝利した形となったが、ワールドカップへの前哨戦としての出来栄えは?
「まずは、三笘薫(ブライトン)がいないなかでの左サイドです。先のイングランド戦では左ウイングバックを中村敬斗(スタッド・ランス)、左シャドーに三笘の布陣で臨みました。試合ではこの左サイドが素晴らしく機能し、決勝点も彼らの攻めから生まれていたのですが……。
今試合では、三笘のポジションに伊東純也(ゲンク)を入れ、その攻撃力を活かそうとした。ところが伊東は典型的な右ウインガーなので、左サイドでどこか窮屈にプレーしている印象。特長であるサイドを深くえぐってからのセンターリングは見ることができませんでした。
また、左足首の手術から約3カ月半ぶりに復帰したキャプテンの遠藤航(リバプール)でしたが、試合勘やフィジカルの強さが不足していた印象でした。いつもなら相手を吹っ飛ばしてボールを奪うところ、逆に体を入れられて倒される場面が目立った。対人の強さなど、“らしさ” を見せるには、もう少し時間が必要となってくるでしょう。
この試合ですべてを判断するわけにはいきませんが、最近は合言葉にさえなりつつある『W杯優勝』なんて言える試合内容ではなかったのは間違いありません。もう一度、気を引き締め直す必要がありそうです」(前出ライター)
ただ、「できたこと、できなかったことがハッキリしただけでも壮行試合をおこなったことは有意義だった」と続ける。
「この試合で、伊東のベストポジションは右ウイングであり、遠藤が本調子に戻るためにはもう少し時間が必要だと判断できたはず。
また、右ひざ負傷から約2年ぶりに代表復帰した冨安健洋(アヤックス)でしたが、ケガの影響がまったくないようなプレーに終始しました。対人の強さ、スピード、カバーリングなど、さすがは “アジア最強DF”。後半38分までプレーできたし、彼の完全復帰はDFラインにとって大きな意味があります。今後は彼を中心に3バックを編成し直す可能性も出てきました」
じつは、壮行試合で低調な戦いぶりだと本番でいい結果が出るという流れが、日本代表にある。
2010年南アW杯に向けた壮行試合、対韓国戦のことだった。日本はホームだったにもかかわらず0-2の完敗。試合後には殺気立ったサポーターからの大ブーイングが埼玉スタジアム2002にこだまし、壮行試合からかけ離れた雰囲気となった。
本来なら、当時の岡田武史監督がサポーターに向けて決意表明をおこなうはずだったが、サポーターの前に姿を現すことさえできず、キャプテンではなく、チーム最年長という立場だけでGK川口能活が異例のあいさつをおこなったほどだった。
当然、期待度としては歴代でも最悪だったが、本番では2勝1敗で予選リーグを勝ち上がり、見事ベスト16入りを達成。代表イレブンの反骨心が結果につながったのだろう。
今回も壮行試合の低調さが本番につながるといいのだがーー。
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