
快進撃を続けるサムライブルー(写真・JMPA)
快進撃を続けるサッカー日本代表。6月30日の午前2時(日本時間・以下同)からは、いよいよ決勝トーナメントの初戦となる強敵・ブラジルとの一戦に臨む。「最高の景色を」を掲げてここまで進んできたサムライブルーだが、激闘の裏にはどんな秘話があったのか。現地で選手らを取材するサッカー関係者が振り返る。
「初戦を控えた12日、いきなりキャプテンの遠藤航が怪我で離脱しました。この直後のチームは、相当、空気が重かったですね。もともと負傷の影響か、パフォーマンスがいまいちな印象がありましたが、キャプテンに据えるなら、最後まで帯同させるべきだったと思いますね。遠藤からすると、怒り心頭になって無理もありません。
ただ日本代表は、かつて三浦知良を招集しなかったことで代表監督が責められたことがあります。森保一監督としては、そのトラウマから、遠藤のような精神的支柱を招集しておきたかったのでしょう」
日本代表の“不運”はこれに終わらなかった。15日のオランダ戦は2-2で切り抜けたが、エースである久保建英が左ひざを負傷し、途中退場する事態となった。
「久保の症状は思わしくないようです。彼のことは小さいころから取材してきましたが、どんなに痛くても表情に出さない選手です。それが、今回はピッチで仰向けに倒れ、放心状態になっていた。あんな久保は初めて見ました。
でも、相手チームにプレッシャーを与えるため、久保はそのまま帯同させています。軽いアップを別メニューでやることで、いつ久保を出すかわからないと相手に思わせ、警戒させたいのでしょう」(同前)
久保のこの状態は、怪我の功名ともいえる効果を発揮しているといえそうだ。2戦めのチュニジア戦では4-0で日本代表のW杯史上最高得点を記録し、快勝。続く3戦めのスウェーデン戦は1-1の引き分けで、決勝トーナメント進出を果たした。
「久保がメンバーから外れたことで、チュニジア戦では鎌田大地をシャドーに上げることになりましたが、この攻めの形はうまくいきました。じつは久保は、前線ではあまり守備に回りません。そのため『前線からプレッシャーを与える』という森保監督の戦術では、使いづらい選手でもあるんです。
パス1本で戦況を変える力が久保にはありますが、得点力と守備力のバランスを考えると、久保より使いたい選手はほかにたくさんいました。それに、欧州で活躍する選手らにとっては、久保が外れることは逆に自分をアピールするチャンスになりますから。こうした副次的な機能が、今大会ではうまくはまったのでしょう。
代表のなかでもいま、とくに乗っているのは、上田綺世(あやせ)、鎌田、小川航基の3人。いずれも、チュニジア戦で得点した選手です。彼らは持っているといえるかもしれませんね」(同前)
長年、サッカー日本代表を取材してきたというこの関係者だが、今大会はひと味違うようだ。
「選手が進化していますね。田中碧、冨安健洋らのボランチ、守備陣はすばらしい。また、攻撃が持ち味である堂安律が献身的に守備をしているのはすごい。あとは、両サイドからの攻撃が進化していると思います。
ただ、いちばんの成長株は森保監督かもしれません。今回、森保監督は、Jリーガーを切り捨てて、欧州で活躍する選手に集中して選手を選びました。遠藤が離脱しても、久保が外れても、彼らを上回る活躍ができる選手を配置して勝ち上がっています。森保監督の采配が光っているといっていいでしょう」
サムライブルーの快進撃は、まだここからだ。
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