
パドレス松井裕樹(写真・共同通信)
一時は首位ロサンゼルス・ドジャースに7ゲーム差をつけられ、ナ・リーグ西地区の優勝はおろか、ポストシーズン(PS)進出さえ絶望的だったサンディエゴ・パドレス。
戦力はナ・リーグ屈指だが、勝てなかった最大の要因は打てなかったことだろう。チームの二枚看板であるフェルナンド・タティスJr.外野手とマニー・マチャド三塁手が最たる例だ。
「切り込み隊長でもあるタティスJr.は、2021年に42本塁打を放って本塁打王を獲得したスピードとパワーを兼ね備えた選手ですが、今季は開幕から絶不調。なんと、開幕から239打席連続ノーアーチという、信じられない結果となりました」(スポーツ紙記者)
また4番のマチャドも安定感に欠けるシーズンを過ごした。しばらく打率が1割台後半と、とてもポイントゲッターの役割をこなしたとは言えない。
2人はシーズン終盤に向け、帳尻あわせのように調子をやや上げたが、今季に限っては打線の不調を投手陣がカバーしたシーズンと言える。
なかでも日本のファンが喜んだのが、中継ぎの松井裕樹の活躍だろう。2023年オフに5年総額2800万ドル(約44億円)の大型契約で加入したが、最初の2年間は計125登板で防御率3.86と、特段の活躍とはいえなかった。
「その結果、今季のスタートは、負けゲームや大差がついた勝ちゲームでの登板からが多かったですね。いわゆる “敗戦処理” 的な役割が多かったのです。
しかし、松井は勝っていても負けていても、黙々と投げ続けました。すると、投球が安定感を見せ始め、首脳陣も考え方を変えたんです。“敗戦処理員” から、絶対的守護神のメーソン・ミラーにつなぐ “勝利の方程式の一員” となったのです」(同)
9月21日(日本時間22日)時点で、松井は51試合投げ、3勝1敗10ホールド、1セーブ、防御率1.90と抜群の成績を残している。当然、目の肥えたアメリカの野球ファンも松井への見方も大きく変えてきた。
「最初は、松井の名が告げられると、それを合図のように席を立つ地元ファンも多かったのは事実です。『この試合はもうあきらめた』と考えるファンが多かったわけですね。
でも、松井は、点差がついていても必死で無失点に抑えようとした。それはどんなシチュエーションでも一緒でした。
それをアメリカのファンも見続け、そして認めるようになっていった。マウンドに上がると席を立っていたファンは、いつしか拍手で迎えるようになりました。
この終盤に来てパ軍のPS進出はほぼ間違いないところですが、その大きな要因が松井の “熱投” であることは、地元サンディエゴのファンは誰でも知っています。
最初は5年総額2800万ドル(約44億円)の契約を『高すぎる』と言っていた人たちが、いまや『早めに契約続投を交渉したほうがいい』という考えに変わってきています」(現地記者)
与えられたポジションで黙々と投げ続けた松井。まさに日本人選手らしいひたむきさだが、その行動こそが、アメリカでも屈指の人気チームを支えている。
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