
9月27日におこなわれたボクシングWBC世界バンタム級タイトルマッチで、那須川天心とのリマッチを3-0の判定で制したチャンピオン井上拓真。7回に天心からダウンを奪われた場面以外は、ほぼ完勝といっていい内容だったが、試合後の天心は「ダウンも取ったし、自分の中では負けた気がしてない」「何が何だかわからない」と発言。試合から4日が明けた今も、ファンの間ではジャッジをめぐっての議論が白熱している。
「WBCの試合は『10ポイント・マスト・システム(10点法)』(ラウンドマストシステム)です。採点の基準は優先順に『有効打、積極性、リング・ジェネラルシップ(主導権支配)、攻撃へと繋げるディフェンス』とされ、ジャッジはラウンドごとに必ずどちらか一方に優劣をつけなくてはいけないことになっています(ラウンドの合計が同点になる場合あり)。また、WBCはオープンスコアリングシステム(公開採点制度)のため、第4ラウンドと第8ラウンドの終了時に、その時点までのジャッジ3名の採点が公開されます。
4回(4ラウンド)までの拓真選手と天心選手の闘いぶりは、かなり拮抗しているように思えましたが、4回終了時の公開採点は38-38でドローが1人、残り2人のジャッジが拓真リードでした。リードの内訳が1人が39-37、もう1人が40-36のフルマーク(そこまでのラウンドですべて10ポイント満点の採点)で拓真としたことで、『4回終了時のフルマークはさすがにおかしい』などの声も多くあがっていました」(スポーツ紙記者)
試合後の天心発言もあって、ファンの間でも議論が勃発。ボクシング関係者や専門家もこぞって今回の結果についてYouTubeなどで言及し、軒並み高い視聴回数を記録している。
そんななか、物議を醸しているのがレジェンド具志堅用高の発言だ。具志堅は「こんな世界戦の判定、初めて見た」「天心が2ポイント勝っていた」と、判定に納得していない様子だ。
「具志堅さんは27日の試合直後に、自身のYouTubeチャンネルを更新。スタッフから『具志堅さんの採点はどうですか?』と聞かれると『試合には勝ってるけど、採点には負けたかなって感じするなー。天心が』と発言。自分の採点は『素人目線』と強調しつつ、4ラウンド時点でフルマークをつけたジャッジがいたことについても『あれ、フルマークの採点がおかしいでしょ。フルマークはないんじゃないかなと思って』『闘いぶりも勢いも全体から観たら、挑戦者(天心)のほうが有利じゃなかったかな』などと語りました。
さらに、拓真選手からダウンを奪った7ラウンドに仕留めきれなかったことが、天心選手最大の敗因だと分析する具志堅さんは、自身のジャッジでは『2ポイント勝っとったかな、天心が』とコメント。『私だけかなって感じするけど、こんな世界戦の判定、初めて観ましたね。せいぜいドローかな』と私見を披露。ジャッジには最後まで納得いっていない様子を見せていました」
しかし、この具志堅の発言に、コメント欄では
《具志堅さん贔屓はやめましょう 完全に拓真が勝ってましたよ》
《具志堅さんはYouTubeのボクシングチャンネルで1番外れたこと言ってるなって思う》
などの批判的な声も寄せられている。
では、具志堅以外の専門家の見方はどうか? 元WBC世界フライ級王者の内藤大助氏は、9月29日に更新した自身のYouTubeチャンネルで試合を分析。自己採点では4ラウンドまでは38-38でドローだったとしつつ、最終的には4、5ポイント差で拓真の勝ちだったと分析。その上で、
「(天心選手の)勝ちなんかないって! みんな思ってるよ!」「(天心が)『負けた気がしない』っていうのは、ちょっと違うと思うんだよね。気持ちはわかります。でも、勝ちはないっすよ!」と発言。
自身の経験から、「どう見ても取りましたよねっていうラウンドにしないとチャレンジャーは(ポイントを)取れない。『ちょっと取ったかな』じゃ持っていかれると思ったほうがいい」と説明しつつ、「勝ってると思っちゃダメよ。いやいや、まだまだ負けてるんだって(思わないと)。最終ラウンド終了後、手をあげたじゃないですか。あれ、すごく印象的だったな。僕、こう思いました、正直。あれ? 勝ってるって思ってるのかなって」と語るなど、拓真の勝利は妥当な結果だと主張した。
さらに、辛辣だったのが現役プロボクサーでYouTuberの中川麦茶だ。
「中川さんはラウンドマストではなく、仮に10:10をつけるのもありだった場合の自己採点でも『拓真選手が2ポイント差で勝利』という動画を9月29日にあげていましたが、その後、9月30日には具志堅さんの発言に対する動画もアップ。
そのなかで、中川さんは『正直に申させてもらうと、具志堅さんの採点基準はどう考えてもおかしい。悪くてもドローって言ったけど、これドローだったら大問題ですよ』と反論。レジェンドの具志堅さんには誰もものが言えないが『僕ごときだから逆に言える部分がある』として、『もし本心で言ってるなら、ちょっとズレてるなと思います』とバッサリ。『あの試合を観て、どうやったら天心が勝ちになるのかなって思うのが僕の正直な感想』とした上で、ジャッジは妥当だったと語りました」
一進一退の攻防でもラウンドごとに必ず優劣をつけなければいけないがゆえ、ときに紛糾することもあるラウンドマストシステム。しかし、「ダウンを取ったからといって勝てるわけではないのもボクシング」なのは天心サイドも理解しているはずなのだが……。
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