
堤聖也(写真・Instagramより)
11月29日に両国国技館でおこなわれる、プロボクシングWBA世界バンタム級王者の増田陸と同級1位の堤聖也の一戦。それに先立って10月14日、両者立ち会いのもと都内で記者会見がおこなわれた。
この対戦カードは、ここにいたるまでに非常に複雑な経緯をたどった“いわくつきの一戦”とあって、ボクシングファンの間で話題となっている。
「堤は2024年10月13日、当時、WBA世界バンタム級王者だった井上拓真を破って世界王座を獲得。1度の防衛後、2025年3月、堤はWBAから同級暫定王者のアントニオ・バルガスとの団体内王座統一戦を指令されました。
しかし、堤は左目の手術をおこなったことでバルガスとの試合が困難となり、WBAから『休養王座』に認定されました。これにともない、堤は、正規王者となったバルガスと2025年12月に団体内王座統一戦をおこなうことになったものの、今度は、身内の不幸で試合ができないとするバルガスが休養王座に。正規王座に復帰した堤は、世界5階級制覇王者にして暫定王者のノニト・ドネアとの団体内王座統一戦に臨みました。
堤は、上記のドネアとの試合に勝利。2度めの防衛を果たしましたが、この試合で鼻骨を骨折。2026年4月に、改めて休養王者のバルガスと団体内王座統一戦をおこなう予定でしたが、鼻骨が完治していなかった堤は試合を延期。これによりWBAは同年5月31日付けで、堤を2度めの『休養王座』に認定。堤は6月から半年ぶりのスパーリングを再開したことを報告していましたが、WBAは8月の最新ランキングで堤の休養王座を剥奪し、堤をバンタム級ランキング1位としたのです」(スポーツ紙記者)
つまり11月29日の増田陸vs堤聖也の一戦は、怪我による休養中にWBAの一方的な決定によって、“無敗のまま”王座を剥奪された形の前王者の堤と、堤の不在中に正規王者となった増田の対戦というわけだ。
「一方の増田は2026年3月15日、WBA世界バンタム級1位のノニト・ドネアとのWBA世界バンタム級挑戦者決定戦を制して、堤への挑戦権を獲得。7月20日に同級2位の比嘉大吾とWBA世界バンタム級レギュラー王座決定戦をおこない、これに勝利して王座を獲得しています。チャンピオンとしては今回が初の防衛戦となります。
なお、プロ戦績16戦無敗の堤に対して、増田のプロ戦績は12戦で1敗のみ。唯一の黒星をつけられたのが、2023年に対戦した、当時、日本王者だった堤です。つまり増田にしてみれば、その唯一負けた相手との3年越しの再戦が、今回の初防衛戦となります」
こうした経緯を経て実現する対戦とあって、2人の会見には独特の緊張感が走る展開に。会見で、増田が「まずはこの試合をクリアして、11月29日、真のチャンピオンが増田陸であるということを証明します」と語れば、その後にコメントを求められた堤は、王者は今も俺だといわんばかりに、持参したベルトを机に設置してから「こんにちは。WBA世界バンタム級チャンピオン、堤聖也です」と挨拶するなど、静かな敵意をむき出しに。
会見後の両者並んでのフォトセッションではベルトを肩にかける増田に対して、堤は丸腰でファイティングポーズを取っていたものの、途中で場を離れるとベルトを持って再登場。現王者と前王者が、ともにベルトを肩にかけた状態で写真におさまるという異様な展開となった。
そんな会見の様子が報じられると、X上では
《堤は表向きは挑戦者やけど正のチャンピオン。主人公感ハンパないわー》
《イイねぇ増田は今回が本当の世界戦だよ 堤にはWBAの腐った措置ごと結果で全部ぶっ壊して欲しい》
といった声のほか、
《これホントWBAが悪いわ 堤選手も本来ならこんな事したくないと思うし、増田選手も困った顔してるしね》
といった声もあがるなど、さまざまな意見が寄せられている。
増田は、記者会見後の囲み会見で、堤のベルト持参を「そんなことしなくてもいいのに」と切り捨てつつ、「3ラウンド以内に決着をつける」とKO率82%を誇るハードパンチャーらしくKO宣言。一方、堤は今回の試合を「(王者同士の統一戦ではなく)僕の防衛戦」「盗まれたものを取り返す」と発言するなど、静かな火花を散らしあった。
はたして、真の王者はどちらなのか――。11月29日、その答えがハッキリする。
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