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タイガー・ジェット・シン、流血騒ぎも被害者は歓喜の異常事態!よみがえる昭和プロレスの記憶

スポーツ 記事投稿日:2026.10.23 20:55 最終更新日:2026.10.23 20:59

タイガー・ジェット・シン、流血騒ぎも被害者は歓喜の異常事態!よみがえる昭和プロレスの記憶

サーベルを噛んで威嚇するタイガー・ジェット・シン

 

 10月17日、代々木第二体育館でおこなわれたプロレス興行「工藤めぐみ40周年記念大会~邪道姫伝説~」に14年ぶりに来日した伝説のヒールレスラー、タイガー・ジェット・シン。この大会で、シンにサーベルで襲われた男性客が頭から流血し、救急搬送されたことは大きな話題となった。

 

「大会のセミファイナルで特別立会人をつとめたタイガー・ジェット・シンは、故・アントニオ猪木さんの宿敵として知られた伝説のヒールレスラーです。この日の入場時、シンは、息子のシンJr、孫のサージャンさんをともなって、トレードマークのサーベルを手に登場。テーマ曲が流れるなか、花道から観客席へ乱入した際、サーベルの“刃”の部分が座っていた男性ファンの頭を直撃。前頭部から出血した男性は救急搬送されるアクシデントが発生しました。

 

 幸い男性は大きな怪我には至りませんでした。その4日後、『東スポ』の取材で、傷は医療用ホチキスで留める処置でおさまったことを報告したほか、シンに襲われたこと自体は喜んでおり、むしろ傷跡が残らなかったことを悔しがるコメントを残しています」(スポーツ紙記者)

 

 現場で何が起こったのか。この日、会場にいた観戦歴35年という熟年ファンが状況を聞かせてくれた。

 

「“インドの狂虎”と呼ばれたシンも82歳ですからね。入場時は息子さんのシンJrが、シンの腰のあたりを持ってサポートしているように見えました。そんななか、シンが観客席に乱入して右へ、左へとカラダを振る中で、手にしていたサーベルがたまたま観客の頭を直撃してしまった感じでした。つまり、襲おうとして襲ったわけではなかったと思います。

 

 細かい話になりますが、かつてのシンはサーベルの“刃”の部分には安全対策なのかバンデージを巻いていました。ところが、今回、入場してきたシンが手にするサーベルの先にはバンデージが巻かれていなかったんですよね。思うに、14年ぶりの来日ということもあって、そのノウハウがスタッフの誰にも引き継がれていなかったのではないでしょうか」

 

 ただ、今回の被害男性もそうだったように、かつてレスラーに襲われるのは熱心なプロレスファンにとって“勲章”であり、武勇伝でもあった。ヒールレスラーも、ヒールじゃないレスラーも「プロレスラーは怒らせたら怖い」を徹底していた。プロレスライターが語る。

 

「シン以外では、ブルロープを振り回すスタンハンセンや、チェーンを振り回すブルーザー・ブロディの入場シーンが特に有名でしたが、1980年代のプロレス会場で、彼らに追い回されたことがある現在中高年のファンは少なくないはず。むしろテレビに映りたくて自らレスラーに近寄っていくファンも多かったですし、ちょけたファンが花道を塞いでピースサインでもしようものなら問答無用でレスラーに蹴飛ばされたりした時代でした。ほかにも地元のヤンキーが“度胸試し”とばかりにハンセンの背中を後ろから叩いたりして、怒ったハンセンに本気で追い回されるなんて光景も普通にありましたね。

 

 あまりに悪質だと判断されたファンは、団体の若手レスラーに裏に連れていかれたりもしてましたよ。新日本プロレスの蝶野正洋選手は、若手時代、客席から汚いヤジを飛ばすファンに対して、先輩から『あいつ行け』と指令を受けて、ファンを会場の外に連れ出したことを語っています。公にはなっていないものの、常連客の汚いヤジに日頃から腹を立てていたある日本人レスラーが、会場の外で出くわしたその客に“くらわした”なんて話もあります」

 

 そう、レスラーはファンには絶対に手を出してこない、などという時代ではなかったのだ。また、デスマッチの会場では「観るほう」にも覚悟が求められたという。

 

「2000年2月に大日本プロレスの後楽園ホール大会でおこなわれた、シャドウWX対マイク・サンプラスのデスマッチでは、シャドウWX選手が自身のコスチュームやテーブルに火を放つ『火ダルマボディプレス』を敢行。火が消えずに大炎上となり、シャドウWX選手は大火傷を負った上、燃え広がった炎がリングや会場設備に飛び火し、周辺にいた観客にも軽度の火傷を負わせるアクシデントが起こっています。この一件以降、後楽園ホール内ではいっさいの火気・ファイヤー使用が厳禁となりました。それ以外にも、蛍光灯デスマッチの試合では、気をつけて観ていないとクラッシュした蛍光灯の破片が客席に飛んできたりすることもありますからね」

 

 残念ながら、近年は、プロレス界でもコンプライアンス遵守が叫ばれているというのだ。

 

「1990年代ごろまでは、こうしたプロレス観戦中のアクシデントは、プロ野球でいうところのファウルボール扱い、つまり『注意していないほうが悪い』という自己責任の範疇でした。さすがにコンプラも厳しくなった今の時代は、怪我をすれば医務室に連れていかれて止血なり、応急処置はしてもらえるでしょうが……。かつてのプロレス観戦は、本来そういった危険と隣り合わせな側面があったし、それを客が面白がる時代でもあったんですよね。その点、今は客が本気で怖がるレスラーはほとんどいなくなりましたよね」

 

 前述したタイガー・ジェット・シンは、観客を負傷させたあと、マスコミにコメントを求められて「私の前にいたのが間違いだ。彼が悪い。わかってるだろ、俺から逃げればいいだけだ」と発言。会場を出てきたシンに駆け寄ってサインやツーショットをねだるファンもいたものの、両手にサーベルを持った息子が眼光鋭く威嚇。シンは我関せずとばかりに、最後までヒールを貫いていたという。

 

 よくも悪くも、観客と選手の距離が近くなり過ぎてしまった現在のプロレス界。だからこそ、シンの一件がここまで騒がれたともいえそうだ。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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