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花よりも花を咲かせる土になれ…高校野球「勝つための金言集」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.16 06:00 最終更新日:2018.08.16 06:00

花よりも花を咲かせる土になれ…高校野球「勝つための金言集」

 

 数々のドラマを生んできた夏の甲子園。なぜ、我々は高校球児のプレーに心打たれるのか。スポーツジャーナリストの田尻賢誉氏が、熱戦の陰にあった魂が宿った名言についてまとめた。

 

 

 もし、滞在中のホテルが火事になったら、どうするだろうか? 階段やロビーは人でごった返し、気が動転して、何をしたらよいかわからなくなるはずだ。そんなとき、我に返る方法がある。

 

 

 それは、自分よりも気が動転している人を見つけて励ますこと。筆者がメンタルについて勉強してわかったのは、人は自分よりも焦っている人を見ると、冷静になれるということだ。

 

 これと同じことを言っていたのが、常総学院の木内幸男元監督だ。ミスをした選手に対し、「ミスをした後ほど声を出せ」と言っていた。理由は「人を励ませば、自分が励まされるんだよね」。  

 

 木内監督の時代は、メンタルトレーニング自体がほぼなかった。それなのに、木内監督は気づいている。それは、本気で勝ちたい、子供たちを成長させたいと思っていたからだろう。

 

 興南の我喜屋優監督は言っていた。

 

「逆境から逃げてばかりいると、いつまでも追っかけてくるよ」  

 

 我喜屋監督は現役時代、まだ後楽園球場でおこなわれていた都市対抗野球に出場。炎天下でのプレーを経験している。そのときにとった行動は、試合前にサウナに入り、鍋焼きうどんを食べること。

 

 暑さから逃げず、自ら立ち向かっていったことで、「さすが沖縄出身。暑さに強い」と言われる活躍を見せた。これもまた本気で勝ちたいと思ったから出た行動だ。  

 

 両監督の言葉は、本質を突いている。自らの体験を通じて、本質に気づいたからこそ、その言葉には言魂が宿り、強い力を持つようになる。

 

 勝負にも、選手たちにも本気でぶつかる熱い指導者の熱い言葉。心にズドンと響く言葉ーー。今夏も、そのような名言が生まれることを期待したい。

 

【闘将に学ぶ「心が震えた金言」】

 

「優秀なコーチというのは表情を変えずに同じことを1000回言える。人を変えるには自分を変えないこと」(前橋育英・荒井直樹監督)

 

「失敗を成功に繫げる選手は一流。責任を転換して失敗を繰り返すのは二流。三流は自分が失敗したことすら気づかない」(花巻東・佐々木洋監督)

 

「人と比較するな過去の自分と比較しろ」(聖光学院・斎藤智也監督)

 

「花よりも花を咲かせる土になれ」(星稜・山下智茂元監督)

 

「どうでもいいなぁって思ってるときはえらく優しいんだから。きつく言ってるときのほうが勝つ気なんだから」(常総学院・木内幸男元監督)

 

「小さな評価かもわかんないけど1億の仕事と同じように評価してやる。どんな小さなことでも褒めてやるのが一番じゃないかな」(日大三・小倉全由監督)

 

「小さなことに全力で取り組み小さなことを確実にする子は、間違いなく大きな仕事ができる」(興南・我喜屋優監督)

 

「本気と一生懸命は違う。本気というのは自分の中から湧き出てくる本当の気持ち」(県岐阜商・藤田明宏元監督)

 

「人は出会う人の数は同じ。周りに人がいる人生を送るかどうかは神様が決めるんじゃない。自分の対応が決めるんや」(今治西・大野康哉監督)

 

「死ぬ気でやれよ、死なないから」(仙台育英・佐々木順一朗元監督)

 

「上が歩み寄らないといけない。上がいかに意見を吸い上げるか、意見が言えるような存在じゃないとダメだと思う」(八戸学院光星・仲井宗基監督)

 

「『万年補欠で3年間ボール拾ってました』と胸を張って言えるような子供を作りたい」(広陵・中井哲之監督)

 

「当然、叱らなきゃいけないですけど、潰す怒り方なのか、自分からやろうと思える叱り方なのかの差はあると思うんです」(関東一・米澤貴光監督)

 

「一番頑張らなきゃいけない選手は一番怒らなきゃいけない。一番結果を残すヤツは一番頑張らなきゃいけない。一番上手いヤツは一番頑張ってなきゃいけないんですよ」(横浜隼人・水谷哲也監督)

 

文・田尻賢誉 たじりまさたか
1975年、神戸生まれ。スポーツジャーナリスト。2001年から甲子園春夏全試合を観戦、取材している。最新刊は『心が熱くなる! 高校野球100の言葉』(知的生き方文庫)。ツイッターは@tajikenjkty

(週刊FLASH 2018年8月14日号)

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