「僕は沖縄の星になりたい。そのためには沖縄出身選手のイメージを大きく変えなければいけないと思っています」
そう声高々に宣言するのは、西武 “山賊打線” の四番をシーズン当初から張る山川穂高内野手(26)である。
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沖縄県民の気質を表わす言葉のひとつに「なんくるないさ〜」がある。本来は「努力すれば、いつかきっと報われて、よい日がやってくる」という意味で、「なんとかなる」というニュアンスで使われることが多いが、これこそが「変えなければいけない」と言う。
「プロの世界で生きている以上、なんとかなるではいけない。こういう気質の選手が多いから、沖縄出身の選手は大成しないと言われてしまう。やっぱりこの世界では関西人が強い。がっつき度が違うんですね。
『なんくるないさ〜』ではなく、『なんくるならない』ということを僕は言いつづけています。沖縄出身でも本塁打王を獲ったり、プロで活躍しつづけたりできるんだ! ということを示したい。それを沖縄の子供たちが見てくれることがいちばんですね」
山川は2016年に14本塁打を放ってきっかけを掴み、2017年は78試合出場ながら23本塁打と、一躍ブレイク。だが、2017年の契約更改では期待したほど年俸が上がらなかった。そこであらためて気づかされたのが、「1年通してやってナンボ」ということだった。
「プロは試合に出て結果を残すことが求められる。だからこそ出だしの3月、4月は気合を入れました。ダメなら即二軍ですから。そこで強烈な印象を残すつもりでやって、結果、月間MVPが獲れたと思っています」
ここに至るまで、多くの人との出会い、助言が自分を大きく変えてくれたと断言する。
「いちばんお世話になったのが上本達之さん(現・西武ブルペン捕手)ですね。上本さんは試合後にもマシンで打ち込みを欠かさずやっていた。
あるとき、『アグー(山川の愛称)、お前は練習しなくても打てるけど、もっと練習したらめちゃくちゃ打てるようになるぞ』と言ってくれた。
この言葉が響き、早出特打ち、試合後のマシン打ちは日課となっています。僕は基本的に全打席本塁打狙い。プロはへんな話、失敗をたくさんできるんです。レギュラーを獲れば1打席めがダメでも次がある」
山川は体重108キロの体格に似合わず、運動神経は抜群。大学時代は50メートル走で6秒2を出している。だが、プロ5年めで盗塁はいまだゼロだ。
「昔は自信があったんですけど……。似たような体型の中村剛也さんのほうが全然速い。走塁と守備に関しては無難がモットー。やっぱり、ひとつの塁を全力で進むより、4つの塁をゆっくり進んで帰ってくるのが仕事だと思っていますから(笑)」
やまかわほたか
1991年11月23日生まれ 沖縄県出身 176センチ108キロ 中部商から富士大(岩手)に進み、ドラフト2位で、2014年に西武入団。特技はピアノと、八段という書道
(週刊FLASH 2018年10月9日号)