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【大相撲職人たちの匠の技】(3)番付は「行司」が書いていた!
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2016.03.19 12:00 最終更新日:2016.03.19 12:00
「勝ちを見ずに負けを見るが鉄則です。どっちが勝ったかではなく、負けていないほうが勝ち、が基本。だいたいの力士の動き方や癖は頭に入っていますが、土俵下で待機しているときのほうが動けないので危険ですね。
ほかのおもな業務は番付書き。相撲字は入門してすぐに練習が始まります。これが書けないことには行司失格です」
こう話すのは、木村恵之助さん(54歳、九重部屋)。
現在、恵之助さんが番付書きを担当。千秋楽直後の編成会議で決まった番付を約2週間かけて書き上げるという。
「本場所中は勝負結果の記録、取組編成会議の書記、場内アナウンスなども行司の仕事です。土俵の上に立っている時間はほんの一部ですね」
行司は序ノ口から始まり、最上位が木村庄之助(現在は空位)、式守伊之助の立行司(たてぎょうじ)である。恵之助さんのもとで番付書きの助手を務める木村勘九郎さん(37歳、北の湖部屋)は、2014年11月、十両格に昇進した。
「入門から十両に上がるまで約20年。十両になって初めて許される白足袋と絹の装束を身につけたときは感慨深いものがありました。行司も幕下以下は、素足に装束は木綿で、軍配も簡素な白木。漆塗りの軍配が持てるのは十両以上。ただ、行司に“見せ場”はありません。あくまで主役は力士です」(勘九郎さん)
とはいえ、個々人がこだわりを持ってあつらえた軍配や華やかな装束、伝統にのっとった振舞い。大相撲の様式美に欠かせない存在が、行司なのである。
なお、行司の定員は45名(現在43名在籍)、定年は65歳だ。
(週刊FLASH 2015年11月24日号)