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池江璃花子にも朗報「3349万円の最新特効薬」本当の実力
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.05.17 06:00 最終更新日:2019.05.17 06:00
《現在、治療は順調に進んでいます。普段、体調が良い時は、(中略)泳いでた時は出来なかったことを楽しむ、という生活を送っています》
5月8日、白血病で闘病中の池江璃花子(18)が、自身のホームページで、56日ぶりに「応援してくださる皆様へ」と題したメッセージを発表。直筆で近況を報告した。彼女の言葉から、専門医は病状をこう読み解く。
「すでに白血病細胞がほとんどなくなった、『寛解状態』でしょう。引き続き抗ガン剤治療を続け、白血病細胞を減らしている最中だと思います。この時期に、近況を報告するということは、治療がうまくいっていると考えられます。
おそらく彼女は、『急性リンパ性白血病』である可能性が高いですが、これは、7割が長期生存する病気です。よほどのことがなければ大丈夫です」(ナビタスクリニック血液内科・久住英二医師)
入院して3カ月。全国から届けられた、池江の回復を願う千羽鶴は、4万羽にのぼった。この間、懸命の治療が続けられてきた。
「まず5、6種類の抗ガン剤を次々と注射する『寛解導入療法』がおこなわれます。約1カ月かけ寛解の状態に持っていくのですが、ご本人が『順調』と書いているので、そこまでは予定どおり進んでいるのでしょう。いまは次の『地固め療法』の段階では」(松戸市立総合医療センター化学療法内科部長・五月女隆医師)
「地固め療法」では、さらに抗ガン剤治療を繰り返し、最終的に白血病細胞がゼロになる状態を目指す。早ければ数カ月で終わる可能性もあるが、治療終了の目途は約2年とされる。
《長期の入院、治療にはなりますが》と、池江自身もそれを覚悟している。またメッセージに《心が折れそうな時もあります》とあるように、治療には苦痛がともなう。
「吐き気や発熱、髪が抜けるなどの副作用があります。今はそれを体験して、一山越えた段階でしょう。状態がよくなければ、メッセージを書く余裕などないですから」(五月女医師)
白血病の治療は日々、進歩している。なかでも注目されているのが、3月に承認された最新特効薬「キムリア」だ。
「免疫治療の一種で、患者から採取したリンパ球に遺伝子操作を施し、ガンに対する攻撃力を高めた『CAR-T細胞』に培養し、患者の体に戻す仕組みです」(久住医師)
1回3349万円と高額だが、米国の治験では「患者の8割から、3カ月以内にガン細胞が消える」という結果を示した。しかも、1回だけの投与ですむという。
「しかし、免疫系が暴走して、抗ガン剤以上の副作用を起こす可能性がある、『諸刃の剣』でもあるんです」(久住医師)
治療の対象となるには、さまざまな条件があり、患者は限られるが、池江にもその可能性はあるのだろうか。
「万が一、病気が再発すれば、選択肢のひとつになる可能性はあります。従来の抗ガン剤治療で救えない患者さんにとっては『福音』といえるでしょう」(ナビタスクリニック新宿院長・濱木珠恵医師)
メッセージの中で《同じ病気の方達の気持ちは多少分かったつもりではあります》と、白血病と闘う仲間たちに向けてエールを送った池江。この言葉が、患者にとっては特効薬以上の励みとなったに違いない。
(週刊FLASH 2019年5月28日号)