スポーツスポーツ

ダルビッシュ有、激怒「二重契約」で団野村をクビに

スポーツ 投稿日:2019.07.31 06:00FLASH編集部

ダルビッシュ有、激怒「二重契約」で団野村をクビに

2012年、ダルビッシュ親子(右2人)とレンジャーズ入団会見に臨む団氏(左端)[写真・アフロ]

 

 代理人を生業にして約25年、敏腕交渉人として知られる団野村氏(62)。かつてインタビューで「ルールは我々のバイブル。常に選手がいちばん」と語っていたが、あるトラブルが原因で、ダルビッシュ有(32)に代理人契約を解除されていた。

 

「代理人の仕事は、あくまでも選手ファースト。少しでもいい契約を獲得しようと努力しているんです。でも、『あの人』の仕事には、疑問符がつきます。法律的には問題ないかもしれませんが、代理人としては倫理上、非常に問題だと思っています」

 

 

 憤懣やるかたない、といった表情で語るのは、多くの選手を抱える、とある敏腕代理人である。そして、この代理人が「あの人」と呼ぶのが、団氏である。問題点を指摘する前に、団氏の経歴を簡単に説明しよう。

 

 一躍、団氏の名が知られるようになったのは、1995年のこと。野茂英雄(50)が、日本球界を敵にまわしてメジャーリーグ入りを目指したとき、その代理人として尽力したのが彼だった。以後、伊良部秀輝(故人)や吉井理人(54)ら、多くの日本人選手をメジャーに送り込んでいる。

 

 ダルビッシュも、2011年オフに、メジャー挑戦を表明した際には、代理人として団氏を頼った。そのダルビッシュと団氏の間に契約上の問題が起こったのは、レンジャーズに在籍中だった、メジャー2年めのこと。

 

 2013年9月、ダルビッシュはスポーツメーカーのアシックスと、年2億円×5年間という大型契約を結んだ。その際、団氏はダルビッシュが受け取る年2億円のうち、手数料として20%にあたる4000万円を毎年受け取ることになった。ここまでは代理人として正当な報酬であり、なんの問題もなかった−−。

 

アシックスと団氏の間で交わされた契約書

 

 ところが団氏は、その代理人報酬とは別に、アシックスから年60万ドル(約6000万円)を受け取る、5年契約を交わしたのだ。前出の代理人は、「ダブルエージェントに(二重契約)にあたり、代理人として非常に問題」と指摘する。

 

 ちなみに、アシックスが団氏に年60万ドルを支払う契約の内容はというと、「ダルビッシュの販促活動の日程調整」などが名目になっていたという。ところが……。

 

「実際には、ほとんど業務はおこなわれていませんでした。要するに到底、対価に見合う業務内容ではなかったのです。

 

 社内では、ダルビッシュ選手との契約に問題はないが、団氏と結んだ契約に対しては、『こんな契約はありえないし、無駄金だ!』と非難する声が多く上がっていました」(アシックス関係者)

 

 驚くべきことに、アシックスと団氏が結んだ契約を、ダルビッシュはまったく知らされていなかったという。

 

「ダルビッシュが知ったのは、5年契約の終盤だったそうです。反応? 激怒したものの、団氏と揉めていることを世間に知られることは本意ではなく、事を荒立てることはしませんでした。

 

 その代わり、ダルビッシュは団氏との代理人契約を2017年で解除して、“恩人” と決別したのです。それまでは、ワッサーマン社と共同で代理人業務をおこなっていましたが、これ以後、団氏は代理人から外されました」(メジャーリーグ関係者)

 

 ただし、話はここで終わらない。ダルビッシュとアシックスの契約は2018年3月末に終了したが、その後、同じ条件で、契約はさらに5年間延長された。

 

「その際、団氏は自分もアシックスと前回と同様の契約をあらためて結んだのです。団氏の言い分は、『アシックスとの契約は自分が持ってきた案件だから』というもの。

 

 強引に押し切られたダルビッシュ側は、この契約だけは彼にまかせたが、球団との交渉などにはいっさい関わらせていません」(同前)

 

 倫理上の問題だけですむのか? 日本プロ野球選手会公認選手代理人で、スポーツ法務に詳しい山本健太弁護士に話を聞いた。

 

「日本では、代理人は弁護士しかなることができませんので、日本でのことに置き換えてお話ししますが、もし選手の代理人が、交渉中の相手方から何か利益を得るようなことがあれば、弁護士法違反に問われて、懲戒される可能性もあります。

 

 ダルビッシュさんから代理人としての報酬をもらうことは、当然のことで問題ありませんが、交渉相手であるアシックスからも利益を得てしまうとなると、話が違ってくるわけです。

 

 また、団さんがアシックスと契約したことをダルビッシュさんが知らなかったとしたら、信頼関係を破壊されたことになるわけですし、弁護士倫理にも反します。日本では、このようなケースを聞いたことがありません。これは大きな問題だと思います」

 

 この件についてアシックスに問い合わせたところ、「契約につきましては守秘義務がございますので、回答は差し控えさせていただきます」との回答が寄せられた。また、団氏側からは期日までに回答がなかった。

 

 団氏の功績は誰もが認めるだけに、その名を汚してほしくない−−。

 

(週刊FLASH 2019年8月13日号)

もっと見る

スポーツ一覧をもっと見る

スポーツ 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事