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前田日明「1982年、俺はロンドンで銀行員のOLを彼女にした…」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.20 11:00 最終更新日:2019.10.20 11:00

前田日明「1982年、俺はロンドンで銀行員のOLを彼女にした…」

 

 1980年代の昭和から平成に変わるころ、UWFブームが全国を席巻した。なかでも、格闘王と呼ばれた前田日明は、時代を牽引する最強のプロレスラーとして、多くの人々から支持されていた。

 

 最近のバラエティ番組では「滑舌が悪い」などといじられることもあるが、実は英語の発声はとてもクリアだ。それも当然である。なぜなら、1982年にイギリス留学をしていたのだから。

 

 

 若手芸人の登竜門番組『東京オーディション(仮)』(TOKYO MX)にゲスト出演した前田に、40年ほど前のイギリス留学の話を聞いた。

 

「下宿先は、ロンドンの南にあるウェスト・ダルウィッチという場所。世話をしてくれたレスラーが経営するパブの3階に泊めてもらっていたんだ。そこには、日本人がまったくいなかったね。

 

 しかも俺、『This is a pen.』くらいしか英語が話せなかった(笑)。とくに困ったのは、買い物するとき。晩飯にステーキ食おうと肉屋に行ったんだけど、なんて言えばオーダーできるのかわからなかった。

 

 だから、まわりをじーっと観察するわけ。そうすると、みんなが『Can I have ~?』って言っているのが聞こえてきた。なるほど、と思った俺は商品を指差しながら『Can I have this?』って。その後も、いちいち言いながら買い物していたよ」

 

 3カ月もすると、自分はしゃべれないが、相手が言っていることはなんとなくわかるようになってきた。相手のイギリス人も、話せないのを察して、簡単な英語で話してくれたという。

 

「彼らの国は、世界各国に植民地を持っていたから、外国人の扱いがうまいのかもしれないね。そこに住む人たちの人柄もよかった。日本でいうと関西人に近いフランクさがあったよ。

 

 晴れた日に道を歩いていたら、知らない人に『What a sunny day today!Don’t you?(なんていい天気なんだろ。そう思わない?)』と、声をかけられることなんて日常茶飯事。

 

 レストランで食器をガチャガチャさせながら昼飯を食べていたら、初対面のおばあちゃんに『うるさい!』って怒られてさ、『I’m sorry.』と謝ったら、『こうやって食べるのよ』って手取り足取り教えてくれたこともあったね」

 

 楽しい留学生活で、ガールフレンドはいたのだろうか。

 

「そりゃ、いましたよ。でも、当初は彼女を作る気なんてさらさらなかった。留学して半年くらい経ったころ、面倒を見てくれたウェイン・ブリッジというレスラーが俺に言ったんだよ。『23歳のヤングレスラーが、わざわざイギリスまで来ているのに、ガールフレンドのひとりも作らないってどういうことだよ?』って。

 

 俺は『修業のために来ているんだし、帰国が決まったら別れないといけないと思うと、相手がかわいそうだ』と返したんだ。そしたら彼が『それが人生なんだよ』って言うんだよ。別れるかもしれないけれど、遠く離れても関係が続く可能性もある。さらには結婚するかもしれない。だから、余計なことを心配するなって言ってくれたんだ。

 

 意を決して女性を紹介してもらうよう頼むが、大きな失敗をした。

 

「モデルみたいな子や舞台女優の子なんかを次々に連れてくるのさ。みんなキレイだから、俺は内心喜んでるんだけど、恥ずかしいから素直に『あの子がいい』とは言えない。

 

 その姿を見たウェインは、気に入らなかったと判断して女の子を帰しちゃうの。あれはもったいなかったな(笑)。最終的には『恥はかき捨て』とばかり、気に入った子と付き合えたけどね」

 

 彼女はイギリス大手銀行ロイズのOLだった。付き合っているとき、文化の違いでちょっとしたトラブルがあった。

 

「何気なく料理を作ってほしいと言ったら、『なんで私がそんなことしなきゃならないの!』って怒りだして、驚いたな。日本だと手料理をお願いされたら喜ぶ女性もいるくらいでしょ。これがライフスタイルの違いかと実感したね。でも、最終的には料理してくれるというのが、イギリス人のジェントリーなところ。

 

 これからの日本には、外国人がどんどん入ってくるわけじゃないですか。正直、いまの日本人に彼らを受け入れる度量があるのかなと思うね。

 

 自分の気持ちいいことにしか『イエス』と言わないで、そうでないものは全部『ノー』。わからないことも、理解できないことも『ノー』。それでは、人間関係は断絶してしまいますよ。

 

 彼らの考えていることがわからないと距離を置きたがる日本人もいるかもしれないけれど、だったら『これがジャパニーズスタイルだ』って教えてやればいいんですよ。そうすれば異文化への理解はもっと深まるんじゃないかな」

 

まえだあきら
 1959年1月24日、大阪生まれ 新日本プロレス、UWF、リングスで活躍し、格闘王と称された。ヨーロッパ・ヘビー級王座、UWFヘビー級王座、IWGPタッグ王座などのタイトル歴を持つ。現在は、プロモーターとして活躍するかたわら、トークイベントなども開催。11月2日には、東京・巣鴨の闘道館で「前田日明の不道徳教育講座」というトークイベントを開催

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