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侍ジャパンの韋駄天「周東佑京」は「快ウン男」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2019.11.22 06:00 最終更新日:2019.11.22 06:00
「彼のスピードはワールドクラスだ。群を抜いている」
豪州のデービッド・ニルソン監督は、ソフトバンク・周東佑京(23)の “神の足” に最大級の賛辞を贈った。
ポストシーズンに続き、「プレミア12」でも「代走周東」が告げられると、観客は拍手喝采、相手投手は浮き足立った――。
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だが、“韋駄天” の野球人生は、けっして順風満帆ではなかった。2018年に育成枠で入団し、2019年3月に支配下登録を勝ち取った苦労人だ。
今季の成績は102試合出場で打率 .196、25盗塁。稲葉篤紀監督(47)は、足のスペシャリストとして大抜擢。見事、指揮官の期待に応えた。
そんな周東が野球を始めたのは小学2年のとき。群馬・太田リトルファイターズの伏島秀夫代表は振り返る。
「自分から『野球をやりたいから入りたい』と。体は小さかったけど、強肩で守備範囲が広く、足も速かった。小6で主将をまかせたんですが、ピンチになると仲間を鼓舞するなど、周囲を見渡す洞察力も兼ね備えていましたね」
中学では太田ボーイズでプレー。檜野武一監督が語る。
「150センチ程度で、打撃も非力でしたね。小柄な選手には、歩幅が小さいピッチ走法が多いのですが、彼はストライドが大きかったことが印象に残っています。今でも盗塁する際、彼はストライドが大きい。当時から天性の脚力が備わっていたのかもしれませんね」
さらに、「中学時代の猛特訓が礎にある」と、当時のチームメイトの保護者が続ける。
「OBが誰しも口を揃えるのが『ベースランニングの練習がいちばんきつかった』。一塁の駆け抜けから始まって、二塁打、三塁打、ホームランなどと、何周も走るんです。周東も練習中に何度か倒れて、自宅まで送り届けたこともあります。
あと、よく覚えているのが、食事をするとすぐにトイレに行くんです。嘔吐するのではなく、便意をもよおす。チームメイトから『あいつは食うとすぐ便所で出しちゃう』と、イジられていました(笑)」
高校は、甲子園出場8回を誇る群馬県の東京農大二高に進学。加藤秀隆教頭(当時監督)は、練習見学会に参加したときの印象を述懐する。
「体の線が細いし、とにかくちっさい子だった。俊足なのはわかっていましたが、体力がないので、じっくり育てようと。試合に出るようになったのは2年生になってからですね。
ゴロで三遊間に転がせば内野安打を稼ぐし、遊撃手として守備範囲も広くて努力家。3年になると主将に選ばれて、ナインの手本になるまでに成長してくれました」
甲子園出場の夢は破れたが、当時からプロのスカウトは、脚力に注目していたという。
「一塁までのタイムが、イチローと同タイムの3.7秒はすごい。将来、プロに指名される可能性が十分にあるとの評価でした。その後に進んだ東農大北海道オホーツクの樋越勉前監督の指導で、さらに素質が開花したんだと思います」(加藤教頭)
東京五輪でも「代走周東」が二盗、三盗と、“神の足” で魅せるか――。
(週刊FLASH 2019年12月3日号)