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ユース五輪で金…アイスダンス西山真瑚は17歳でカナダ一人暮らし
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.01.16 20:00 最終更新日:2020.01.17 15:25
2020年が幕開けし、いよいよ東京オリンピックの開催も迫ってきました。ところで、いま本物のオリンピックが開催されているのをご存知でしょうか。
会場は国際オリンピック委員会(IOC)の本部があるスイス・ローザンヌ。オリンピックのお膝元で、『ローザンヌ2020・冬季ユース五輪』が1月9日に開幕しました。
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ユース五輪(YOG)は、「世界の若者たちにオリンピック精神を養ってもらうこと」を目的に、夏季と冬季、それぞれ4年ごとに開催され、原則15〜18歳の選手が競う、いわば若者のための若者による五輪です。
運営も若者が中心になっておこないます。第3回大会の今回は、世界79カ国1900人が8競技81種目にエントリー。22日まで2週間にわたり熱戦が繰り広げられています。日本は7競技に過去最多の72選手を送っています。
YOGは、2022年北京冬季五輪の有望株を占う上でも注目度の高い大会です。注目は、フィギュアスケート・アイスダンス日本代表の西山真瑚選手(17)と吉田唄菜選手(16)のカップル。
日本では羽生結弦選手や紀平梨花選手などを筆頭に「フィギュアといえばシングル」と想い浮かべる人が多いでしょうが、世界的に見ると、アイスダンスの人気は非常に高いのです。
4回転ジャンプのような派手な飛び道具ではなく、カップルがシンクロするステップやコンビネーションの美しさを重視する大人の競技というところが、欧米では魅力的に映るのかもしれません。
アメリカ、カナダ、ロシア、フランス、イタリアなどが強豪です。YOGでもその人気は高く、アイスダンスのチケットは早々になくなってしまいました。息子の晴れ姿を見ようとローザンヌ行きを楽しみにしていた西山選手のご両親でさえ、1試合のチケットを手に入れるのがやっとだったそうです。
そして、1月15日、各国の選手を抽選で8組に振り分けて競う「NOC混合団体戦」において、吉田・西山組は、ジョージアのペア、エストニアの男子シングル、ロシアの女子シングルと組んだチームで、見事、優勝! オリンピック金メダルを授与されました。
この団体戦のアイスダンスの成績は、ロシアやカナダ、アメリカの上位カップルを抑えての1位で、団体戦金メダルに大きく貢献したのです。
■団体金メダルにアイスダンスの強化は必須
吉田・西山組が彗星のごとく現れたのは、2019年8月のジュニアグランプリ・アメリカ大会。若さあふれるハツラツとした演技で、鮮烈な国際デビューを果たしました。正式にカップルを結成してわずか半年での国際大会。吉田選手はアイスダンス選手としての実績があり、西山選手も6歳からシングルを始め、その技術と表現力には定評があります。
周囲の期待以上の完璧な演技で、なんと6位入賞を果たし、その後のジュニアグランプリ・イタリア大会でも6位入賞、全日本ジュニア選手権優勝と好調をキープ。これまで日本枠のなかったYOGのアイスダンス出場権を自らの実力で勝ち取りました。今回の金メダルは、まさに快挙です。
この吉田・西山組の活躍は、日本のフィギュアスケート界にとっても重要な意味を持ちます。なぜなら、2014年ソチ五輪からフィギュアスケートで「団体戦」が正式種目に採用されたからです。団体戦は男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスの4種目の総合成績で争います。
フィギュアスケート最強国となるためには、他国に後れをとっているアイスダンスの強化は必須。2人にかかる期待は相当大きいのです。フィギュアのファンはそれを知っているのか、彼らを『うたしん』と呼び、競技会場では『うたしん、がんばれ!』という手作りのバナーを持って応援する姿も多く見かけます。
「オリンピックは夢の舞台。楽しんでやります」と語っていた西山選手。今回のYOGをステップに、日本にアイスダンス旋風を起こし、北京五輪では日本にぜひ金メダルをもたらしてほしいものです。